2012-6-3
山内正敏
雪融けが遅れて、雪も時々(6月1日も)積もって、まるで1990年代に戻った感じの5月でした。その為に冬期滑り止めの砂利が未だに掃除されず、歩くのに危険な状態(乾いたアスファルトの上の砂利の滑り易さは氷よりも性が悪い)が続いています。
そんな訳で、研究所からアパートまでの初歩行も昨年より5週間も遅れ、今までに2回しかやっておりません。但し、その分を週末の10キロ歩行で補って、満足出来るタイム(10.5km坂道コースを、昨年ベストの1時間55分から6分更新)が出ているので、一応満足のいく月でした。体調も昨年より良く、お陰で先週のハーフマラソン(330キロ南のルーレオ市での大会)にも気持よく参加してきました。昨年がおそらく歩行器としては世界初のハーフマラソン完歩の筈で、昨年から今年にかけて類似のニュースは聞きませんから、今回が世界で2度目だろうと思います。
参加に当たっては世界記録をどれだけ更新するかが最大の関心事ですが、折角の汽車旅行(3時間半)なので、何か新しい試みという事で、今回は、現地介護(昨年までの介護で、今年から大学でリハビリ師のクラスに通っている人)に当日の付き添いをお願いして、汽車の旅を一人で過ごす事に挑戦してみました。こちらの汽車は駅での停車時間が長いので、介護を同乗させなくても、駅で介助の人が乗り込んで私が降りるのを手伝う余裕が十分にあります。例えば、帰りのキルナ駅は予め鉄道会社にアレンジを申し込んでおりましたので、介護の代わりに担当の人(実はタクシーの運転手)がやってきて、私の介護と落ち合ったのは、キルナ駅に降りて暫くしてからです。そういう状況でも困らない事が確認できたのはハーフマラソンとは別の成果と言えるでしょう。この分だと、もっと遠いウーメオ(大学病院のある街で7時間かかる)も汽車で一人で行けそうです。
宿泊のほうは、今回もユースに泊まったのですが(こちらでは、普通の安ホテルよりもユースの方が身障者トイレが備わっている)、これが実は介護の必要な部屋でした。というのも、今回泊まったルーリオのユース(昨年と違い、大会会場は市バスで10分強の距離)は、寝室のドアのスプリングが異常にきつくて、自力では絶対に明けられない代物だったからです。なので夜中にトイレに行く事が出来ず(水も飲まなかったので、どうにかなったけれど)、もしもルーリオ現地の介護が泊まってくれなかったら、トイレを相当に我慢しなければならない羽目になったと思います。もっとも、それを除けば、駅からも大会会場からも便利な場所に格安で(2人分x2日でも、他のホテルの1泊と同じ値段)泊まれるので、今後もスポーツイベントでは使う気がします。
ちなみに汽車の運賃は非常に安く(330kmを3時間半で走る特急なのに、私が1200〜1500円程度、介護は若いので1000円以下)、宿泊に介護が必要な事を考えたら、現地介護をお願いする意味は全くないのですが、現在の私の介護よりも、現地の介護の方がスポーツ好きなので、今回は現地介護にしました。来年参加する場合(すればの話だけど)もそのようになると思います。
さて、肝心のハーフマラソンですが、昨年が風邪上がりの悪コンディションで4時間10分だった(目標は3時間55分だった)ので、今年は体調の良さと2度目という事を考えて、3時間50分を満足ラインに設定しました。つまり、3時間50分以内なら満足、3時間40分以内なら大満足、逆に4時間以上かかったら打ちひしがれて帰るという設定です。結果的には3時間51分で、この正式タイムだけなら、やや心残りのある満足ということになりますが、事情はもっと複雑です。というのも、コースを2ヶ所間違えて、トータルで9分程度ロスしたからです(実際の歩行距離は600〜700mほど長い)。
1ヶ所目は4キロ地点で、今年の地図をきちんと調べずに、昨年よりも1つ手前の角で曲がらなければならない所を直進してしまったというもので、これは私に非があるし、ロスもせいぜい1分半程度なのであまり気になりません。ちなみに他のランナーよりも1時間20分早くスタートしているので、4キロ地点だと他のランナーよりも50分早く通過することになりますから、道案内の人も立っていません。
問題は2ヶ所目の9キロ半地点で、本来なら曲がるべき所で、道しるべのテープが真っすぐ続いて、しかもコース案内者も、曲がるべき方向の反対側の芝生に座り込んでボーイフレンドと話込んでいて、私が真っすぐいくのを止めなかったからです。200m先までテープがあったのに、それが突然消え、更に見覚えの無い陸橋にさしかかって変だと思って、介護を偵察に出すと同時に、そろそろと戻り始めたら、やはり間違っていたという始末です。ちなみに、この3分後にハーフマラソンの先頭ランナーが通過しており、もしも私が先に酷い目に会って道案内人に文句を言わなかったら、先頭ランナーも路に迷った可能性があります。
ちなみに昨年は矢印のマークが書いてありました。それを端折った所に問題があったのでしょう。というのも、道案内が立ってなくても間違わないようにコース作りをするのがロードレースの基本で、曖昧なテープだけではこのような事が起こり得るからです。テープが間違ってつけられていた原因については、子供コースが反対側から合流したのか、それとも子供の遊びだったのか分かりません。というのも、間違いの入口で、小さな子供が道標テープで遊んでいたからです。彼女がテープを(他のテープと同じように)結びつける遊びをしていたかもしれません。思い起こせば、今から25年前(アラスカ時代)、この手の遊びでトライアスロン大会が滅茶滅茶になった事がありました。
あと、問題が起こったのが9キロ半地点と言うのも不運の理由の一つです。昨年、疲れ始めて直線を長く感じた場所だったのに、今年は快調に歩いたせいから短く感じたので、まだまだ曲がる場所ではないという先入観がありました。要するに不運が重なって、7〜8分のロスとなった訳で。もしも(もしもってのが気に入らないけど)コースを間違えなければ3時間42分が可能だったのではないかと思いますが、こればっかりは分かりません。ちなみにラップは以下の通り。
3km: 29.5min (昨年 34.5min)
6km: +33min=ロス1分半 (昨年 +34.5min)
9km: +30.5min (昨年 +33 min)
10km: +19min=ロス7〜8分 (昨年 +11.5min)
13km: +31.5min (昨年 +35min)
16km: +32min (昨年 +35min)
19km: +32.5min (昨年 +38min)
21.1km:+33min (昨年 +39min)
まとめると、はじめの15キロ(1周目)は昨年より1km当たり1分速く、ラストの6キロは1km当たり2分速く歩いている事がわかります。これは10キロを超えてもペースがあまり落ちなかったお陰で、実際、平坦路だけに限ると1周目(9分40秒/1km)と1周目(10分/1km)であまり変わっていません。この分だと、来年には30キロ歩行も挑戦出来るかも知れません。もしもそんな大会があればの話ですが。
最後に例によって無駄話です。
スウェーデンの人口が4月下旬(推定)に950万人に到達しました。私がキルナに来た1990年に850万に達したばかりだったので、それから22年で1割近く増えた事になります。これからは他人に尋ねられたら「約900万人」ではなく、「約1000万人」と答えなければなりません。
なお、増加率ですが、1970年代〜1990年代が停滞気味で(800万人になったのは1969年)、なかなか900万人達しなかったのに、2004年8月に900万人に達してから、僅か8年弱で更に5%以上増えおり、加速しているのが分かります。
加速の原因は移民で、これが以前より増えて、最近は年7〜8万人だそうです。ちなみに現在人口の7分の1が他国生まれ(その中には北欧の他国も含む)で、この比率は北欧では一番高くなっています(デンマークとノルーウェーは移民比率8パーセント)。その為か、移民を制限する考え方が強くなっており、例えば大学の授業料は1昨年まで国籍関係無しに無料だったのが、昨年からEU以外の学生には授業料を課す(といっても日本の私立より安い)ようになりました。逆に、博士課程の外国人には国籍を出すという提案も出されているようで(この提案はもともと左系の考え方だったのだけど、今は移民制限=右系が熱心になっている)、この先、アメリカのように「役に立つ者だけを選択的に受け入れる」という流れになっていくのかも知れません。