Encode is "iso-2022-jp" or just "Japanese" (if the text is "moji-bake")

[リハビリ記録その33]     [ホーム]     [概略表]     [リハビリ記録その35]
============================================

リハビリ記録その34

2005-9-04 山内正敏

 木枯らしの合間に小春日和が挟まれる季節となり、寒風の中での長時間外出は介護に悪いので、歩行訓練は心持ち短めにして、そのかわり負荷のかかるような歩き方を心掛けるようになってきています。とはいえ、冬に比べて良質の訓練が出来る事は確かで、結果的には、この1ヶ月だけでも色々と進展があります。
 まず 歩行器の方はキルナの隅々まで歩こうという意図のもと、街の西端から南端にかけては数回に分けて街はずれを征服したものの、一番遠い東端や南東端はまだで、来年以降に持ち越しとなりそうです。本当は研究所から自宅までの片道を歩いてみたいのですが、条件がそろう日(介護+天気+心づもり)が無く、未だに挑戦していません。歩行器のみならず、車いすのほうも久々に新しい挑戦をして、足台を外して自宅から街まで1キロ余りを漕ぎました。おおむね足をあげたまま漕いだので、腕もさることながら太ももが非常に疲れて、これも確かに足の訓練になると思った次第です。
 次に3輪自転車ですが(もちろんヘルメットをかぶって練習しています)、昨年一番軽い段でやっとだった登りを一番重い段で登れるようになったり、7月までまできつくて登れなかったところがクリアー出来るようになって、淡い坂道を、最大で 8km/1時間漕げるようになりました。タイヤに空気を入れてギア1段分楽になった事もありますが、夏の間にかなり脚力というか臀力がついた事は確かです。このくらいの距離になると介護に付き合わせる訳にいかないので、練習自体はアパート前の路地(車止めでのお陰で車がほとんど通らない)の往復を中心です。路地だけに限ると片道400mで、気合いの入っている時は、更にきつい坂を求めて(路地だけだと一番重いギアでぎりぎり漕げる)片道1キロ余りのコースを走る訳ですが、同じところの往復なので介護にタイムをつけて貰っています。2ヶ月前に往復800mのコースをベスト5分30秒かかっていたのが、今ではベスト4分20秒で回れるようになり、往復2キロ余りの坂道コースも往復14分で回れるようになっています。
 プールもかなりの進展があり、階段に四つん這いになって両足を屈伸させる訓練では、正月以来挑戦していた段(片足3段目、片足4段目)で完全に( 腰をしっかりおろして )出来るようになりました。あと、階段2段目(水深 80cm)での手放し立ちの際に横を向く訓練を始め( まだ安定しない )、階段1段目(水深 95cm)では手放しのまま 片足を一瞬上げる 訓練(最大1秒)も始めています。
 松葉杖では、 短い(普通の)松葉杖 で1mだけ歩きました。今まで普通の松葉杖が使えなかったのは、手に握力が無くて松葉杖を握って持ち上げる(前に降り出す)事が出来なかったからです。今でも握ることは出来ませんが、指を一生懸命に曲げれば90度までは曲がるので、それを釣り針のようにして松葉杖の手掴みを引っ掛けて持ち上げる事が可能になったので、それで挑戦してみた訳です。バランスはなんとか取れるみたいなので、体操療養師との訓練の時間に少しずつ距離を伸ばそうと思っています。肘で固定する松葉杖で歩けるようになってから丁度2年かかって次のステップに進んだという感じです。問題は指が疲れる事で今の所10回以上持ち上げるのは(指が疲れて曲げ続ける事が出来ないので)ちょっと厳しい感じですが、まあ、訓練すれば長持ちするようになるでしょう。
 このように、最大の問題たる指ですが、このほど、親指の第2関節の柔軟をやっと始めました。1年半前に小指の第3関節が曲がり始めて以来、最大の問題は親指となっていて、その親指全体を根元から曲げる柔軟をやっていたのですが、それが少しほぐれ始めた今年は、最後に残った第2関節の不自然さが目立ってくるようになって、そこで柔軟を始めた訳です。指の柔軟は入院中にちゃんとやっていればここまで酷くならなかった筈ですが、担当というか責任と言うかそれが曖昧で、本当の意味でまともな柔軟を退院まで受ける事が出来ずに、そのツケを今頃払っている訳です。まあ、一般的に私のように四肢の重度麻痺が長く残るケースでは、指にまで十分なケアーが行きにくく、そのあたりは将来の患者では改善して貰いたいものです。

 リハビリ以外では、研究所で120人規模の国際会議が先週あって、私のやっている事とはトピックが違ったものの、結局毎日顔を出して質問したり、レセプションパーティーで皆で歌う唄の音頭をとっていたりしていました。日本人が数人来た事もあってパーティも結構やっていますが、そういう夕食会の中には、ロシアが作るナノ衛星に載せる観測装置の意義を、ピザをつつきピールをがんがん飲みながら議論するというものもありました。キルナの研究所では、どういう訳か将来計画に関する真面目な相談(知恵を出す会)を、このような形式でやるというしきたりが10年以上続いていて、以前は別の教授のところで開く習わしだったのが、私が病気になって以来、私の所でやるようになってしまって、こういうピザ会議がちょくちょくあります。
 他に変わったパーティと言えば、私の生誕2の14乗日(百兆日@2進法)のお祝いもあります。つまり8月12日と13日がそれぞれ 生誕11111111111111日(2進法) 生誕100000000000000日(2進法) だったので 強引に祝った 訳です。この手の2進法誕生日(桁数が一番大きくなる誕生日)は、次は2倍の歳(89歳)だから、下手すると今回がラストチャンスかもしれません。

 さて、数ヶ月前から準備している日本訪問ですが、チケットを購入し、ホテルも決まり、旅行保険も最大カバー(保険代が1週間で1万円)を頼む事に決め、介護や歩行器のアレンジは宮崎の知り合い経由でどうにかアレンジ出来そうで、まあ、あとは行くしかありません。あとは宮崎での疲労を最低限にするべく、ゆったりした日程を組む事だけを心しなければなりませんが、これが一番の難関のような気がします。例えば、宮崎滞在中にたまたまスウェーデン最高峰の合唱団(OD)が宮崎でコンサートをやるようで、スウェーデン最高ゆえにキルナくんだりに来た事がないという事情から、それを聴きに行く事に決めていたりします。こういう事をやるから過労になるのかも知れません。

追伸:パソコンの故障より新しいパソコンでメールするので、文字化けなどトラブルがあるかも知れません。
============================================
   []