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リハビリ記録その33

2005-8-06 山内正敏

 3週間の夏休みが終り、月曜からは、溜まった仕事を処理する日々に追われます。トロムソ出張の時とはうって代わっての悪天候続きで、最高気温ですら11〜13度の雨天が続いています。たまに晴れると、最低気温が3〜4度で、あまりリハビリにはよろしくありませんが、そこで引いてはリハビリにならないので、歩行器だの自転車だのジムだのやっております。
 その甲斐あってか、8週間振りのプール(去年もそのくらい閉まっていた)では、8週間前と同じ事が出来て、過去2年の夏休み明けに比べると良い状態でプール再開となりました。また、冬以来、腰痛で停滞気味だった尻の筋肉も回復を再開して、 脚力トレーニングの器械 でようやく負荷を重くする事が出来ました。筋肉は確かに回復しているようです。
 当然歩行能力も上がっていて、2ヶ月前に5キロ半がやっとだったのが、今は6キロ、しかも余り無理なく2時間半ほどで歩けるようになっていてます。また、松葉杖では街のスーパーにも大きなスーパーにも片道だけなら行けるようになりました。その際、低い歩行器を介護にもって行って貰い、帰りにその歩行器を使うのですが、歩行器は座れるようになっているので、介護は50m先に行っては、歩行器に座って私を待つ、というパターンで歩いています。松葉杖では時速1キロに満たないので、介護が立ち疲れるのを防ぐには丁度良い方法のようです。
 歩行訓練では足首固定器を外して歩く訓練や膝バンドを外して(この場合は足首を固定する)歩く練習もやっていて、その際には以前使っていた 肘で支える歩行器 が活躍しています。今の所、膝バンドなしは平地を500m程、足首固定器無しは緩い坂を1キロほど(近くのコンビニまで)歩けて、特に後者は、平地なら低い歩行器でも出来るようになりました。
 このように歩行訓練は毎日かなりの量をやっていますが、脚力の回復に一番貢献しているのは 3輪自転車 のような気がします。というのも、足と尻の筋肉を確かに使っている感じがするからです。自転車と言えば室内用もありますが、こちらはギアが単調なので筋肉負荷も単調で、しかも飽きやすいので10分余りしか続きません。よしんば我慢しても、サドルのせいか尻が痛くなり、最大20分が限界です。しかし、3輪自転車だと緩い坂や風のお陰でメリハリがあって、筋肉に良い刺激になる上に、長い時間(40〜50分/5〜6キロ)平気で続けられます。そういう訳で3輪自転車の練習を増やした結果、昨年3段変速のローギアでしか登れなかった坂が、今年はセカンドで登れるようになり、今まで登れなかった坂もローギア登れるようになって、1周2キロほどの周回コース(ここから20m程高い教会前を通る)も回れるようになりました。ただし周回コースはさすがに介護に悪いので、普段はアパートの前の直線の淡い坂を往復しています。
 回復の遅れている指の方は、殆ど進展を感じないものの、それでも冷凍庫からアイスクリームを取り出して、それをスプーンでコーンに載せる作業が出来て、やはり少しはマシになっているようです。冷蔵庫からものを取り出すのも随分スムーズになっていますが、鬼門は袋をあける事で、鮮度を保つという名目の過剰包装だけは身障者泣かせ(+環境泣かせ)だとつくづく思います。
 そういう風に、基本的には良いニュースが多いのですが、リハビリにはリスクもある訳で、実は3週間前に大転倒して、入院する騒ぎもありました。
 3輪自転車の練習をおえて、最後にほんの3m程の狭い坂(高さとしては20センチほど)を登ろうとしたところ、脚力が足らずに、登り切る前に自転車が止まり、それだけならまだしも、逆走し始めてしまいました。使っている自転車は足でペダルを止めてブレーキをかけるタイプで、逆走とはペダルも逆回りすることを意味しますが、その逆回りを止めるだけの脚力が無かった訳です。これが道幅の広い所であれば、逆走しかけた段階でハンドルを切って横向きにして重力から逃れる事が出来ますが、いかんせん幅2メートルですからそれが出来ません。ハンドルの少し切れた状態で逆走加速して、僅か2mもいかないうちに遠心力の向きにバランスを崩し、そのまま頭から転倒してしまいました。3輪自転車というのは見た目よりも遥かに不安定なのです。
 不幸な事に、載っていた自転車は、前が2輪タイプで、バランスを崩す方向は斜め後ろです。しかも普通の転倒と違い、瞬時の出来事ですから、腕で頭を庇う事が出来ず、左後頭部だけがぶつかるという最悪のパターンになってしまいました。そういう訳で、自転車速度がほぼゼロで転倒だったにもかかわらず、かなりの出血し、かつ1時間ほど座る事すらが出来ないぐらいのダメージを受けてしまいました。
 当然救急車で運ばれましたが、医者の言うに、吐き気や目眩などは脳震盪でも起こるのであって、記憶の切れがないらしい(らしいとしか当人には言えない)以上は脳の中は大丈夫だろうから、レントゲンの必要はないとの事で検査は何も無く、ただ、脳打撲で一番危険なのは12時間だから入院して行けとの事でした。去年までの医者なら直ぐにレントゲンぐらい撮ったパターンですが、昨年来た医者は全然方針が違うようです。結局血だけ拭いて一般病棟に移されましたが、ちょっと不満は残ります。
 途中、何度も眠くなるのを、今の状態で寝てはいけないと言われて我慢して起きていたのですが、夜になると今度は眠れません。というのも、一般病棟は相部屋なので、ベッドのみならず室温も熟眠条件からかけ離れている為です。こんなんでは回復が遅れるし、いつまで入院したところでレントゲンはとってくれないし、何かあっても私には介護と臨時呼び出しがあるから、翌朝さっさと退院してずっと自宅療養をしていました。1週間経っても頭痛が続き、右足に力を入れると頭痛が酷くなる事から、こんどは一般外来のお医者さんに会って、色々話をして、やっと事故から2週間後にCT検査をしたところです。結果はシロで、頭痛もバランス感覚の悪さも日を追って快方に向っているので、九分九厘大丈夫だと思うものの、未だに若干の頭痛は残っているので、長い目で回復を見る必要はあるようです。
 リハビリは事故の10日後に少しずつ再開し、三輪自転車もヘルメットをかぶって再開しています。本当は始めからヘルメットをかぶるべきだったのでしょうが、実は昨年ヘルメットをかぶろうとしたら頭のバランスが悪かったので、どうせ車のない校庭を回るのだし、と思ってヘルメット無しだったのを今年も惰性で続けてしまった訳です。
 事故が起こったのは休暇の2日目で、その翌日から悪天候が続いたので、安心して養生できたのも不幸中の幸いと言うべきかも知れません。頭すら使わない(内出血で脳内を圧迫するのが怖かった)ようにしていたので、本当の意味での休暇だったとも言えます。それでも2週目以降は、暇つぶしに ホームページ を大幅に整理をしておりました。今までのリハビリレポートに写真を加えて載せ、ついでに 発病直後の日記 とか(もう冷静に読める時期でしょう)も載せています。
 最後に10月の日本行きですが、1週間滞在という線で調整を進めています。結局こっちの介護に宮崎まで付いてきて貰う事にしました。あと旅行保険もしっかりしたのを掛ける予定です。
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