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リハビリ記録その28
2005-3-06 山内正敏
キルナは2週間前から毎日晴天の春日和で、急速に長くなった昼(毎週50分ずつ日が長くなる)と相まって、身体の活動度が上がっています。昨日なぞは松葉杖で標高差20m以上の7%坂を一気に(40分近くかかりましたが)登りました。病気でなかったらスキーを100km/週のペースで滑っていたかも知れません。そのスキー、今日が世界最大最長最古のスキーレース『バサロペット』の当日で、今朝はずっと介護(彼もスキーヤー)と一緒に、ラジオで12人がゴールになだれ込む大混戦を聴戦しておりました。ギランバレーに罹る半年前に参加した
この90キロレース
は、病気にさえならなければ今年も参加していたに違いなく、将来いつか、回復の証明として参加する事を狙っているレースでもあります。2002年も参加すべく11ヶ月前に参加費(約一万五千円)を払い込んでいたのですが、病気で参加権を売らざるを得ませんでした。締め切りが9ヶ月前なものだから、この手の売買が大会組織によって推奨されている訳で、同時に病人から余分な金をとらない北欧の習慣もしっかり踏襲しています。
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スキーを滑るのはまだまだですが、代わりに2台目の低い歩行器を新しく手に入れて雪道を歩くています。低い歩行器自体は11月に手に入れていたのですが、残念ながら車輪に雪を集めてしまうタイプで全く歩けず、代わりに雪道用の車輪(というかブレーキ)をつけた歩行器を新しく頼んだのが、10日前にやっと手元に届いた訳です。時間がかかったのは、年末年始を挟んだのと(結構手続きを踏まないといけない)、ブレーキを改造していた為です(指が殆ど曲がらず、握力と言う概念すらないので、腕全体でブレーキを掛けないといけない)。で、11月に手に入れた歩行器(これもブレーキが特別仕様になっている)は、県の身障者器具課に返したついでに改めて研究所に貸し出して貰いました。というのも、研究所にはもう一人身障者(進行性麻痺、私より年配)がいて、彼が昨夏から歩くのに杖を必要とするようになったので、どうせなら私と彼でシェア−しようと云う事になった為です。それに、一般訪問者にも歩行器があった方が良い人が出て来るかも知れません。そういう意味で、私への貸し出しではなく研究所への貸し出しにしてもらいました(こっちの交渉は簡単だった)。
で、早速両者とも使っています。これらの歩行器の良い所は、今までみたいに肘で支えるタイプでないので、本当に足で体重を支えなければならない事です。あと、ブレーキの関係から腕の筋肉の訓練にもなります。だから負荷としては平地では松葉杖と余り代わりません。しかも松葉杖みたいに滑る心配がないので安全性が高く、そういう意味ではありがたい自主トレ器です。現に近くのコンビニまで買物に行ったら(急坂を避けたので往復で1キロぐらい)、腕・足ともにくたくたになりました。研究所でも昼食の時(部屋から食卓まで 100mぐらいある)に使い始めましたが、こっちの方は、久々に目に見える変化と云う事で、それを見た所員が皆喜んでくれています。
まとめておくと、私の使っている歩行器は4つあり
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室内用肘歩行器
(発病1年2ヶ月〜):電動昇降で、トイレや自転車への移動とかで使う。
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屋外用肘歩行器
(発病1年7ヶ月〜):固定高で肘で支える。車輪が大きい。
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普通の歩行器
(発病3年〜、研究所):固定高で手首で支える。屋外可だが、雪や雨に弱い。
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屋外用歩行器
(発病3年4ヶ月〜):固定高で手首で支える。屋外向き。
補助器と云えば、膝を固定するバンドの新しい奴を新調しましたが、こっちはいけません。膝の骨を横から圧迫しているのです。そこで膝の部分を調整しようと思うものの、以前のバンドと違って鋼鉄が入っていて簡単に曲げられません。こんなものを使い続けたら膝を痛めるに決まっています。ちなみに以前のバンドはウーミオ大学病院で貰ったもの、今回のはキルナの隣街エリバレの病院(キルナ地区担当)が注文したもの。エリバレの病院は今までも碌なものを誂えた事が一度も無く、どうも、まともな専門家がいないようです。田舎だから仕方ないとはいえ、何とかしたいものです。今の所は頻繁に文句を云うしかありませんが。
痛めると云えば先月書いた腰痛ですが、これは一向に良くなる兆しが無く、そういう訳で脚力訓練は手抜のままです。他に先月は胃石の件も書きましたが、胃石そのものを調べても生体構造は見つからず、医者はとうとう匙を投げてしまいました。もっとはっきりした自覚症状が無いとどうにもならないようです。腰痛の方は、とにかく無理をしない事を心掛けていますが、それでもプール訓練とかで足腰が少しずつ回復しているのが分かるので、焦る必要はないようです。例えば、プールの階段に四つん這いになって膝を屈伸する訓練では、
片足を4段目(水深 50cm)
に載せて半分屈伸する事が可能になっています(今までは両足とも3段目=水深 65cm)。他に
机に手をついて立ち上がる練習
も始めています。今後、椅子の高さを徐々に低くして普通の椅子でも出来るようにするつもりです。
話は代わって、2月末に辞めた介護の補充ですが、まだ新しい人が決まっておらず、臨時介護で凌いでいます。もっとも、焦らなくて良いのも事実で、先週の土曜なぞ、病気になった介護の代理が余りの好天ゆえに見つからず(皆スノーモービルを乗り回していた)、とうとう時限介護(30分x4回)だけで凌ぎました。しかしこれはさすがに無茶だったらしく、翌日しっかり悪寒となりましたが、ともかく1日だけならなんとか凌げる事が分かった次第です。
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介護と云えば、もう一つ、今年の旅行の予定に関して。学会は恐らくはフランスで、それが6月(未定)に小さなワークショップになるか、それとも7月下旬の大きな国際学会になるか決まっていません。そっちのほうは余り心配していないのですが、問題は10月上旬の日本行き(プライベート旅行)です。法事を兼ねて、宮崎帰省を目論んでいるのですが、介護をどうするかが決まっていません。身障者の泊れるホテルも確保しなければならず、未だに総べて白紙の状態です。現在はとにかく関係しそうな情報を集めているところです。アイデアでも情報でも何かあれば御一報頂けると有難いです。日本国内での懸案は以下の通り。
*実費での介護(私が現金払いして、それを後からキルナ市に払い戻してもらう)
*短時間での巡回(常時介護が必要な訳では無いから)
*車いすや歩行器の借用(歩行器は持って行けないし、車椅子も壊れるリスクが常にある)
*ホテル
*いざと云う時の病院掛かりの時の為の保険
で、一番の問題はストックホルムー日本の飛行機です。飛行時間の一番短いヘルシンキ経由(フィンエアー)になるとは思いますが、それでも介護無しでこの長時間搭乗は不可能ですから、介護が必要ですが、スウェーデン人の介護を連れていくと航空運賃のみならず日本で泊まるホテルの費用もこっちが出さなければなりません。キルナ市が出すのは日当(時給1500円+出張手当て)のみです。となれば、できればストックホルム在住の日本人介護(叉は准看護師/それに準ずる人)を見つけて、日本では休暇と云う事にして貰って、日本で別の介護を見つける方が合理的です。つまり、日本に帰省する介護資格保持者の帰省運賃をこっちが持つ代わりに、飛行機に乗っている間の面倒を見てもらうというアイデアです。次善の策としては、日本にいる介護/准看護師でスウェーデンまで観光に来そうな人を2人(行きと帰りが別人だから)見つけて、その運賃の半分をこっちが持つというもの。ちなみにキルナーストックホルム間や宮崎ー関空(叉は羽田)間は前後に人がいれば一人で大丈夫(子供一人旅と同じ)だと思います。
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最後に雑文です。スウェーデン大使館が毎年発行している『Excelent Sweden: Caring』という雑誌(今回で第7号、作っているのは極めてマイナーな出版社)で、今年はキルナの特集があり研究所も載っています。正確には地球環境特集ですが、その大部分はキルナでの取材によるものです。内容が荒削りの感が拭えませんが(なんせ私が超速攻で2本も書くぐらいですから)、とにかく滅多に出ないキルナですので、とにかく宣伝しておきます。発売は2月25日だから、まだ紀伊国屋系の書店にはおいてあると思います。
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