2017-5-1
山内正敏
異常に寒い4月で、5月1日というのに大通りですら雪と氷がへばりついています。こんなことは、キルナ滞在27度目の春で初めてです。今春の寒波の異常なところはラップランドだけでなく、スウェーデン南部も欧州中部も同様に寒い事で、先週のウイーン出張も大半が強風や寒雨でした。こんな場合、普通は「南(北)が平年より寒ければ北(南)は平年より暖かい」となる筈ですが(ジェット気流の蛇行によるものはだいたいそんな感じ)、その常識すら当ては寒春となっています。
というわけで、4月後半になっても歩行訓練の出来るアスファルト面がなく、歩道に至っては真冬よりも歩きにくい凸凹氷表面で、例年なら10km歩行を何度もしている筈なのに、今年は最長5km(全力は3km)を2-3回しかしていません。道路ばかりが天候も酷く、スキーすら出来ませんでした。唯一の期待であったウイーン(ホテルー学会場の2km半は歩くのに適したコースとなっている)でも、半分以上地下鉄を使わざるを得ない天候で、それまで会わせると、今までで、最も歩けなかった4月となっています。向こう一週間も平均気温氷点下、最高気温1〜2度という予報がでており、道路が歩ける状態になるとは思えず、今月19日が恒例のハーフマラソンなのですが、それに間に合うのかいささか不安です。
そのかわり、週末は大抵2日とも松葉杖の距離訓練を病院廊下(往復170m)で行なっています。大抵は20往復(3.4km)ですが、ハーフマラソンの練習にもなるようにと、より長い距離にも挑戦しており、今日は(ややゆっくりながらも)26往復も歩いて、スタミナだけは少しずつつけています。20往復を越えると、もはや飽きるといった段階を越えて、ほぼ無心に歩けますが、それでも、ある距離を超えると足が限界に達して愕然と速度が落ちます。今のところ、ペースを最高に近い状態で維持出来るのが15往復程度で、ゆっくり歩いても25往復が限界です。ハーフマラソンまでに2時間続けられるようになれば(今は1時間40分が限界)、歩行器ならその倍の距離を維持出来るのではないかと期待してます、というか、そのくらいしか、距離訓練の練習は思い浮かびません。
ブールの方は快調で、階段での四つん這いでの膝の屈伸が、かなり難しい段ですら片手支え(両手でなく)で出来るようになっています。ただ、完全にはほど遠いので、そのあたりが来年までの目標とないそうです。ただ、その割には自転車の方(30分での回転数)が伸び悩んでおり、恐らくは買った時に比べてオイルとかの劣化で重くなっている為ではないかと思われます。
最後に無駄話です。 ウイーンの欧州地球科学会では、ドバイの火星ミッション(2020年打ち上げ)の正式な発表がありました。昨年もこの話自体は噂で流れていたのですが、米国の知り合い(関係者)によると、おおっぴらには発表できない状態で、今回が初めてです。正確には、今年1月の米国での火星会議で発表が初公式で、欧州地球科学会での発表は2回目となります。なんでも、設計が固まって、衛星のCAD図面が出来るのを待ったようですが、その発表で驚いた事が2件あります。一つは(インドの火星ミッションと異なり)本格的な科学探査を目指して、今まで調べられなかった領域を米国の最新鋭機器でしらべるという事で、単に火星に行くという(宇宙新興国なら当たり前の)水準とは一線を画していることです。もう一つは、発表者が女性だった事で、そのことを米国の知人に尋ねると、なんと科学スタッフは全員が女性で、探査機の技術者も6〜7割が女性だそうです。イスラム圏だからという偏見が全く通用しません。もっとも、問題も残っていて、それは彼女らが海外に行く(学会であれ、探査機関係の仕事であれ)には、その夫の許可が必要で、それが非常に難しい(個人の問題なので、宗教から抜けられない)とのことです。ともかく、びっくりばかりの発表でした。
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