2012-1-1
山内正敏
大震災と、応急措置的な復旧に明け暮れた年も終わり、長期的な復興に向けた新年となりました。私の病気の場合、初期の大変な時期(1年余り)の後は、どちらかというと回復に向けたプログラムがきちんと走り始めて夢の広がって来たので、それと同じように、日本でも長期的な意味での改革が本格的に進んで欲しいものです。
発病11年目という事で、今年からは従来の歩行器歩行から松葉杖での歩行に訓練の重点を移すべく、今日(元旦)もさっそく松葉杖訓練に行ってきました。これは病院の廊下(片道160m)を何度も往復するもので、昨冬のベストが8往復(2.6km)68分でしたが、今日はこれを5分縮めて、9往復(2.9km)71分で歩いております。目標は、春までに8往復を1時間以内、1年半以内に9往復を1時間以内で歩く事で、それが出来るようになるとスキーの練習が本格的に始められます。
プール訓練では、長らく停滞していた手放しでの段差昇降がやっと再始動して、ついに階段1段目(水深90cm<=>水深105cm)が左右ともに出来るようになりました。これが3段目あたりまで出来るようになると、普通の階段の松葉杖での昇降もかなり楽になると思います。本当は後ろ向きで同様の事をしたいのですが、プール訓練の時間制限(30〜35分)以内にしようとすると、ほかのメニューを削らなければならず、でも削れるようなメニューがないので、もう少し待たなければなりません。
仕事の方では、今年は大きな会議(複数の講演が平行して行われるような会議)に11年ぶりに参加する予定です。今回は欧州地球科学連合(EGU)総会です。本音を言えば、細かな準備や手筈が大変なので出たくはないのですが、放射能関係の発表と、自分が予算をもらっている研究(宇宙プラズマ関係)の発表の両方が出来る会議を捜すと、どうしても大きな会議しかないので、これもリハビリの一つと思い切って、参加する事にしました。そんな訳で、4月下旬にウイーンに行きます。
介護の方は、またも一人(19歳になったばかり)が1月から大学に行く事になり、現在、後任探しをしています。いつもの事ですが、決まるまでは何となくほっとしません。
最後に例によって無駄話です。
県立キルナ病院の救急外科部門と、付設の集中治療室が閉鎖になって、120km離れたエリバレ病院に全部移転してしまいました。何度か反対運動をして、私もデモ行進に参加したりしたのですが、10年以上前から県の方針で高度治療や患者の少ない部門を県内2ヶ所(ちなみに県の面積は10万平方キロ=日本の面積の4分の1以上で人口は僅かに25万人)の病院に統廃合する事が進められていて、今回は救急関係の部門がとうとう廃止となりました。集中治療室は3ヶ月お世話になった所なので残念です。県内の他の病院でも同様の統廃合がすすんでいるので、多少の統廃合は仕方ないものの、救急外科部門や集中治療室は地元に近い事が重要なので、特に鉱山と言う危険な職場を抱えたキルナでは長い目で見て問題が起こる気がします(誰も責任は取らないだろうけど)。
統廃合の理由は、大病院に求められる医療レベルが高くなって金喰い虫になってしまった事ですが、それを名目にしては不味いだろうと議会も思ったらしく、表向きは、
『ヘリコプター輸送が簡単になったから、高度な治療の出来る病院に運ぶ方が効果的だ』
という説明になっています。それが嘘である事(120kmという距離が瀕死の重傷者の場合は命に関わる事)は誰でも知っていて、実際、この時間差の為に亡くなった方もおられるそうです。しかもヘリコプターは悪天候で飛ばないという欠点があります(私の場合も悪天候で搬送が12時間遅れた)。要するに理由なんかどうでも良いから、とにかく地方を切り捨てて(県都の)大病院に集中させるというのが県都の政治家の考える事のようです。
ちなみにキルナ鉱山は大儲けですが、その利益は全て国に召し上げられ、多少の税金が県に行くものの、キルナ市に入って来る税金はゼロです。なので、鉱山が(落盤リスクの元に)いくら儲かっても、それはキルナ病院や他の公共施設には全く還元されない事になります。