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リハビリ記録その76
2009-3-1
山内正敏
暖冬から一転して普通の寒い冬になっていますが、すっかり明るくなったお陰で、同じ気温でもそこまで寒く感じません。
一昨日まで2泊3日でウプサラ(ストックホルムの隣の市)に行って来ました。2泊ぐらいだと準備も大胆に(いい加減に)なって、車椅子の現地調達を全く考えずに出掛けてしまいましたが、問題なく過ごしています。一週間後には再び2泊3日でストックホルム出張が入っていますが、こちらも殆ど何も考えていません。
国内旅行に対する敷居が低くなるのは良い事ですが、緊張感が減り過ぎて失敗するリスクもあるので少しは気を付ける必要があります。今回だと天気予報も調べずに行った事で、1ヶ月前のストックホルムがさほど雪が無かったので、今回は雪は無いだろうと勝手に思って行ったら、歩道は完全に雪に覆われ、キルナよりも歩き難く、滑り止めを持って来るべきだったと後悔しました。今後は、12月〜2月は国内出張は出来るだけ避けた方が良い様です。特に、歩道と車道の間に雪の壁で車への乗り降りが不便な事には閉口しました。1週間後のストックホルムでは雪が少ない事を期待します。
リハビリの方は僅かずつながらも着実に進んでいます。特に室内用自転車は30分での回転数が秋口より1割多くなって、この4ヶ月で大きく向上しています。そのせいかどうかは分かりませんが、6年間使っていた室内用自転車が壊れてしまいました。土台にひびが入って不安定になったもので、そういう意味では寿命ですが、それでも、たったの500回程度の使用で構造が壊れるというのは普通の自転車では有り得ない話です。健康用品と言われる製品の胡散臭さを改めて実感しました。でも、背に腹は代えられないし、少なくとも元は十分に取った気がするので、近いうちに新しく買います。
松葉杖は膝バンド無しの介助無しで『交互杖』(片杖を降ろす前にもう一つの杖を宙に上げる)で数メートル歩けるようになりました。この『交互杖』と3点確保の歩き方の間に中間的な段階として、足を踏み出す時に杖を1本しか地面につけない(でも直後に杖を降ろす)歩き方がありますが、これだと 100m以上普通に歩けます。時々3点確保の歩き方を交えて、今日は廊下4往復(1.3km)を1時間20分で歩きました。膝バンド無しの訓練を始めてまだ4ヶ月ですので、かなり速いペースで距離や技術を伸ばしている事になります。また、介助付きだと、交互杖ばかりか片方の杖しか使わない歩き方も出来ます。
松葉杖を使った訓練では(膝バンド付きながらも)
階段の昇降訓練
も順調で、少なくとも登りは交互に足を出してスムーズに登って行く事が出来るようになりました。難しいのは下りで、これは暫く今の訓練(片足ずつ降りて行く)を続ける必要がありますが、今のところ、体操療養師の時間でしかこの訓練が出来ないので、これが体操療養師の代わりに介護の補助だけ(と言っても腰をふらつかない程度に支えるだけだけど)で出来るようになる事が先決です。
脚力関係では、新しく踏み台昇降を始めました。これは電動式の歩行器で肘を支えて、10センチ程度の踏み台を昇降するもので、4〜5年前に何度か試してはいますが、その頃は脚力が不十分で腕に頼る訓練になってしまい、肝心の脚力の訓練にならない事から見合わせていたものです。しかるに、この冬に試してみると、きちんと脚力の訓練になっていて、それで1月から本格的に開始しました。今では週に2〜3回、20〜30分ずつやっています。やり始めて日が浅い事もあって、毎回のように単位時間あたりの昇降回数が増えていて、今では30分で350回ほど出来ます。室内で出来る訓練なので、気軽に出来る上、寒い日なんかに便利ですが、そういう手軽な訓練が意味を持つようになるまでに7年近くかかるって事実は、考えてみればリハビリの一般論でも重要な情報かも知れません。
最後に例によって無駄話です。
私の勤める研究所は、清掃員や学生を含めて70人程しかいない規模ですが、それでも一応はスウェーデンで唯一の国立研究所で、要人とかが時々来ます。8年前の増築のこけら落としには国王が来たし、数年前にはアラブの何処かの王族が来て、それに国王夫妻が付き添っていました。
ですが、まさか首相まで来るとは思いませんでした。なんでも、EUの宇宙並びに環境の為のセンターをキルナに誘致する為に、キルナにあるいくつかの関連組織のトップから話を聞く為に来たようです。確かにキルナには研究所の他に、
エスレンジ宇宙基地
(打ち上げロケットや気球や衛星管理などの基地で日本のJAXAも専用のアンテナを持っているほど)や
欧州電離層レーダーネットワーク
の本部(日本や中国も参加して、日本もアンテナを一つ提供している)、
欧州宇宙工学大学院
(EUが音頭をとっているが東京大学も参加している)の本部があって、もしも宇宙関係のセンターを置くとしたら適地である事には違いありません。普通だったら、これら4組織の所長をストックホルムに呼びつけるのでしょうが、今回は誘致先を実際に見る必要があったので、キルナに来た様です。
その首相訪問で驚いたのが、付き人が殆どいない事です。秘書が一人にガードが2人(一人は車の運転手だったかも知れない)の計3人だけでした。マスコミもテレビが一局だけで、日本では有り得ない気がしました。そういえば国王の訪問(国王は自分で車を運転する)の時も付き添いが少なかったように思います。日本ではちょっと有り得ない風景でした。
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