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リハビリ記録その25
2004-12-05 山内正敏
お腹を壊す季節が再びやって来ました。私の病気は元々はカンプロ菌による下痢が原因なので、病気以来下痢がすっかり怖くなって、暴飲暴食は差し控えているのですが(以前は相当に食べていた)、それでもお腹を壊す事はあり、そういう時は、介護が常時いないと非常に不安です。先日も個人介護の帰ったあとに便意を急に催して、急いで呼び出し介護を呼んだのですが、週末の夜故に介護も忙しく、待つこと40分、結局あとが大変でした。早く自力でトイレに座るぐらいは出来るようになりたいものです。
先月は待ちに待った大学病院行きがありました。前回から1年半振り。今回は入院ではなく、半外来(昼間だけ1日中いて、休憩用のベッドとかもある)に3日間行き、宿泊は病院のすぐ横の患者用ホテルに泊まりました。入院ではないので介護も同行しましたが、私と併せて2人分の交通費+宿泊費は私の住む県が全額負担します。加えて、レストランで食べる食費の一部も患者に限って補助があり、私が払うのは1日800円です(普通に食べたら2000円)。それだけ金をかけてても、私の住む県の病院に専門的な科を置くよりも、あるいは私を入院させたりするよりは遥かに安く(全ての職種の人件費の高い福祉国ですから)あがります。それゆえ、北スウェーデン(スウェーデンの面積の3分の1に当る)中のちょっと面倒な病気の患者がこの大学病院に集まって来ます。当然、患者用ホテルもかなり大きく、そうなると当然患者でない普通の旅人にも門戸を開く事になる訳で、勢い内装その他も一流ホテルと一緒という事になって、しかも大学と同じ敷地に建っている事から、大学関係者が大量に泊まっていました。とはいえ、もともと患者の為のホテルとして設計されていますから、車椅子用の部屋も充分にあり、その他に介護や一般客や体が自由に動く人間の為の部屋があります。考えれば考える程上手いシステムだなと感心しました。実際、満室になる事も多いらしく、例えば3年前に発病直後の僕が集中治療室にいたとき、姉が見舞いに来たのですが、唯一の家族として宿泊の優先権がある筈にも関わらず満室で泊れませんでした。
今回の滞在は前回の5分の1の期間ですが、それでも検査内容は前回並みに多く、簡単な身体機能チェックやEMC試験(神経シグナルの伝播速度だけでなく、筋肉に針を刺してシグナルを直接測る)、膀胱機能試験(膀胱に生理水を入れて膀胱の反応を見る)の他、今回始めて血液の浄化機能試験(マーカーを腕に注射して、それがどのように膀胱まで辿り着くかイメージを撮り続ける)もやりました。会った専門家は神経内科や手指の整形外科の先生の他、作業療養師、体操療養師、膀胱療養師など8人にも及び、運動神経版の人間ドックといった感じです。滅多に出来ない検査だからこそ集中的にやる訳で、僕の方も過去の回復を表にしたもの(ホームページの英語版)やビデオのDVD版などを作って、今回の集中検査が効率的に行くように準備して行きました。特にホームページの英語版(のプリントアウト)は好評で、作っておいて正解でした。
ちなみに仕事に75%復帰していると言ったら、そんなの不可能な、という顔つきを全員にされました。介護や施設の充実したスウェーデンですら、75%復帰は大き過ぎる数値だそうです。考えてみれば、私が75%働けるのは、職種が特別であること(パソコンを使い、自宅で、好きな時間に出来る)に加え、病院の横に住んで病院への移動時間がゼロに近いお陰です。これが1キロでも離れたところだったら、病院にタクシーで往復しなければなりません(そして、この場合のタクシーは最低でも2日前に予約しなければならない)。そうすると、待ち時間などで時間を無駄にするばかりでなく、必要な時にちょいと行く訳には行かず、病院関連で週に最低15時間(1回3〜4時間)は浪費する事になります。他にも自主トレだの、介護関係・社会保険庁関係の雑務などがありますから、そうなると週30時間の仕事時間を確保するのは確かに不可能です。病院の横に住めるのは、たまたまキルナみたいな田舎に住んでいるからですから、そういう意味では、スウェーデンのしかも田舎に住んでいるお陰で、仕事時間がとれるという事になります。ストックホルムではここまで上手くいかないような気がします。もちろん日本は論外です。
で、肝心の
検査結果
ですが、運動神経の機能は残念ながら1年半前と殆ど変わらないようで、手足の指や足首の神経は反応が殆ど無く、伝導速度を測る事すら出来ませんでした。膀胱機能も数値の上では前回と同じです。回復が認められたのは腕や上肢の筋肉を司る神経で、要するに前回駄目だった所は今回も駄目というわけ。それは現実の動きにも現れていて、脊椎から手首までの筋肉は確かに回復しているものの、指を動かす筋肉は麻痺したまま(指全体で掴む動きが少しだけあるのは以前と同じ)、同じく尻や太股は少しマシになったものの、足首を支える筋肉も麻痺したままで、1年半前の懸案は全然解決されていません。中には前回よりも数値の悪くなった所もあり、検査にあたった先生も、この種の測定は誤差が多いからなあ、と仰るようなありさまでした。1年半前に手指の整形外科の先生が、手術以外に新しい動きを得る可能性は殆ど無いと仰った通りです。
まあ、でも作業能力は確かに上がっている訳で、加えて、1年半前の私の状態を知っているスタッフの連中が見ると、ものすごい回復に見えるらしく、皆が口を揃えて喜んでくれます。加えて、更に(ホームページの表に見られるように)過去の半年でも確かに目に見える回復がある事実にも、スタッフ一同が感心して、何処まで回復が続くか楽しみだみたいな事を言っておりました。まあ、確かに普通じゃないようで、気長にリハビリを続けた甲斐はあります。と言う訳で、検査結果が思わしく無い割には心理的ダメージは殆どありません。
私ぐらいに重症になると臨床例が殆どないそうで、従って、私が回復の新例を作って行くしかありません。神経内科的には先行きが全く分からないのだから(というか今でも回復を続けているのが不思議なそうだから)、手指の手術についても先生方で意見が分かれており、神経内科の先生方は回復が続いている以上は手術には早過ぎると言い、整形外科の先生は、今手術しても失うものは何も無いから、せめて親指の動きを良くする為の手術はどうかと言い、その一方で、私は、神経幹細胞(stem cell)を使う技術が始まる(試験体になる)のを待っても良いかなあなどと考えていて、結局結論は出ませんでした。いずれにせよ、何らかの手術を視野に入れるべき時期には来ているようです。
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で、毎月の回復が大切との事なので、先月の回復も簡単に書くと、まずプールの中で四つん這いになる練習を始めました。プール自体はそこまで浅くありませんが、階段だと四つん這いが可能で、例えば足を2段目3段目(水深 75cm~90cm)に置き、手を4段目5段目に置いて、そこで四肢(特に脚)の屈伸をやっております。現在、
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足を3段目に置いて
最高連続3回屈伸が出来ますが、これも2週間前には全然出来ませんでした。他に
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両手を膝に当てて、腰を出来るだけ伸ばして立ち続ける
練習も階段で始めています。尻に浮力がかかる為、足を踏ん張らないといけないので、なかなか良い練習になります。
生活の方では、座ってシャワーを浴びる時に、片手でシャワーのカランを握れるようになって、もう一つの手で体の前面だけは軽く撫でる事が出来るようになりました。簡単に水で流す程度なら、介護が濡れずに済むので、介護の方も準備(靴下を脱いだりズボンをまくり上げたり)する必要が無くなったので、シャワーが以前よりも気楽に出来るようになりました。他に、室内着の時は、自力で尿袋をトイレに空ける事もなんとか可能です。残るは大きい方の用足しですが、これもそのうち出来るだろうという根拠のない自信はあります。屋外では、肘で支える(以前からの)歩行器で、1キロ半以上離れた歯医者まで片道40分で歩いたりしています。ただし、要所要所で介護に歩行器を支えてもらっているので完全に自力ではありませんが、殆ど普通の人並に移動出来るのは嬉しいものです。
活動範囲は広がるにつれ、残念ながら事故も増えて、先月は2度も転倒してしまいました。1回目は松葉杖で玄関の敷居を越えた時に、雪で濡れた杖底のゴムが滑った為です。ゆっくり崩れたものの、その角度が悪くて足の親指を逆向きに強く曲げ、広範な内出血となったので、ひび骨折の疑いから結局レントゲンと撮る羽目となって、骨には異常は無かったものの1週間以上まともに歩けませんでした。2回目は歩行器で歩いている時に、道路脇の小型マンホールの窪み(雪に隠れていた)に車輪がはまってバランスを崩したものです。後頭部をアスファルトにぶつける大転倒となって吐き気とか目眩とかしましたが、それでも打ち所が良かったらしく、救急外来ではレントゲンも撮らないうちに追い返され、実際、後遺症は今の所出ていません。以来、路面が横に傾いているような所(例えば交差点で雪のわだちが出来ている所)では、歩行器を介護にささえて貰うようにしています。
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最後に久々のオーロラ状況です。今シーズン調子の悪かったオーロラも、11月は毎日のように出まして、何度か綺麗なものも見ています。
月別の出現
をまとめていますので、興味のある方はどうぞ。
あと、
ブッシュを記念した文
も更新しました。暇を持て余している方はどうぞ。
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