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リハビリ記録その184

2018-3-4
山内正敏

 相変わらずやや寒めのキルナですが、それでもスウェーデン南部よりはマシで、この10日間ほどはストックホルムをはじめとして大雪のために飛行機などの交通機関が麻痺し、高速では雪で交通がとまって雪から救出されるような話も聞かれます。

 日本行きと、その後のインフルエンザで半分リセット状態になった「好調」のトレーニングですが、1ヶ月かけて徐々に戻って来ています。松葉杖は年末年始の絶好調にはほど遠いものの、それでも距離もタイムも11月末並みの調子は戻していて、今日は5km(病院廊下30往復)を1時間36分(ベストの4分遅れ)で歩き、満足出来る内容でした。そういえば、松葉杖のトレーニングでは、距離・時間が長くなったせいか、室内にもかかわらず足を暖める格好のほうが記録が良く(ただし上半身はランニングがベスト)、これは歩行器でハーフマラソンを歩く時にも当てはまります。考えてみれば病気前に11度走ったフルマラソン(6回が平地)では、平地で3時間を切ったのは、唯一ジャージで走った時で、短パンだと後半必ず崩れていました。山岳レースでもジャージの時の方が後半のタイムが良く、少なくともサブスリー程度のアマチュアなら短パンでなくタイツ・ジャージ等で走る方が良いの思われます。それなのに日本ではどんなに寒くて短パン姿が多いのが不思議です。トップランナーはどうしでタイツを使わないのか?スキー用の可動性の高いものが出ている時代に、誰も挑戦しないのが不思議です。
 室内用自転車の方は、負荷を若干下げて、代わりに長い時間漕ぐ訓練を始めました。この一ヶ月は平均で5割増の時間(今まで連続30分がデフォルトだったのを連続45分にしている)を漕ぎ、最長は連続1時間5分で、どうやらスタミナばかりが上がっているようです。
 プールに至っては、1月に続いて2月も2回しか出来ませんでしたが、これも11月並みの調子で、想定外の良さでした。ちなみに1月は冬休み休業と旅行とそのあとにインフルエンザが原因ですが、2月の方はプールの塩素負荷装置の不調よるものだそうで、3週間以上も閉鎖となっておりました。装置の調子が悪いのは、以前に比べて塩素の基準値が厳しくなって、古い装置では少なめの塩素を維持するのが難しいからのようです。全部を取り替えるのは大変で、しかも鉱山拡張の影響で青写真(現実は予定の倍の時間がかかるのだけど)通りに拡張が進むと、病院を15年以内には移転しなければならず。それで更新に二の足を踏んでいるようです。

 2月は10年余ぶりに股関節のレントゲンを撮りました。年々腰痛が酷くなるのは自覚していたのですが、1月に日本から戻る際の飛行機に非常に悪くなって、暫く夜も良く眠れなかったからです。結果は意外にもシロで(ベテラン医師が丁寧に見れば異常は見つかるでしょうが)、どうも股関節を支える筋肉が弱っているのが原因と思われます。スポーツ系の腰痛も、筋肉の許容度を超えて酷使する「過労」から来る訳で、対策としては朝晩横になった時に、クロールのバタ足訓練をして、負荷の低い状態で筋肉だけを鍛えるぐらいしかなさそうです。
 体関係では、1ヶ月前の結石除去の効果が早くも出て、尿が正常経路からで安くなっています。とは言え、まだカテーテルが必要なのも事実で、結石がなくなったらカテーテルを外せると期待していたのは叶いませんでした。それでも将来の「カテーテル外し」の可能性がゼロではないことが分かり満足出来る改善です。

 最後に無駄話です。
 キルナはスウェーデン領ですが、歴史的には実はこれがフィンランド領になっていた可能性も実はあります。というのも、スウェーデンとフィンランドの国境線は、北方戦争後にスウェーデンがロシアにフィンランド統治権を渡すまで決まっていなかったからです。取り合えず、スカンジナビア半島付け根の最大の川であるトルネ川で分けようということになったのですが、この本流はキルナの直ぐ横(アイスホテルのあるユッカスやロケット打ち上げ場のあるエスレンジは同じキルナ市内ながらも川を渡った反対側)を流れており、そうなったら川から10kmも離れていない鉱山までもロシアに取られてしまったのは間違いないからです。
 当時既に鉄が出ることは分かっており、それをロシアにひた隠しにした上で、更に将来の憂いを立つべくトルネ川の第一支流を「こっちの方が距離が長い本流である」と言いくるめたそうです。当時、ラップランドは「取っても旨味のない土地」と思われていたのも幸いして、ロシア側もごねずに今の国境線で落ち着いたとのことです。
 もしもキルナ鉱山がフィンランド領(ロシア領)になっていたら、ロシアの歴史は変わっていただろうし、たとい第一次大戦に影響がなくとも、ナチスが(キルナの鉄の運びだされる)ナルビクを得るために行なったノルーウェー侵攻もなかった筈で、どんな歴史になっていたのか想像もつきません。

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