2013-11-3
山内正敏

　１０月２２日〜３１日の日本行きからキルナに戻ったら、マイナス１０度前後のドライな雪に覆われた順当な冬景色となっています。介護が風邪なのと日本行きの疲れを癒すべく週末は大人しく過ごしましたが、そうでなければ歩行にも適した冬日和でした。

　日本では、１２年ぶりの京都が３泊とも季節外れの台風雨に祟られてしまいましたが、後半の福岡は天気に恵まれてキルナの夏の最も幸運な日々と同じ気候を楽しみました。例によって今回も挑戦があり、それは私鉄の多用（名鉄、京阪、西鉄）と新幹線初挑戦で、いずれも何とかこなして満足しています。
　私鉄やJR在来線の方は広い３ドアなので全然問題なく、唯一難しかったのが西鉄二日市駅太宰府線ホームで、ここだけ列車と車両が離れていて、歩行器の車輪より広がっていて気になりましたが、渡し板（頼めばしてくれるはず）なしで何とかなりました。
　新幹線は名古屋ー京都はこだまの自由席、京都ー広島がのぞみの身障者指定席（実は新幹線ののぞみに乗ったのは生まれて病気前を含めても初めてで、速さにびっくりした）、広島ー博多がのぞみの自由席で、ついでに博多から在来線乗換えも介護と２人だけ（計３０キロちかい荷物付き）で行なって、ホテルまで介護と２人だけで移動しました。この際に驚いたのが、新幹線の出入り口のドアの幅が３回とも異なっていた事で、のぞみ身障者車両は問題なかったのですが、こだま自由席車両がドアの幅が歩行器の幅より狭くて、私が手すりに捕まっている間に歩行器を畳んで中に入れて、それから広げて歩行器に移るという面倒な事をしなければなりませんでした。同じ自由席車両でものぞみのほうはぎりぎり歩行器の幅より広く、新しい車両に改善が見られる事がわかります。新幹線でこれですから、おそらく在来線特急でも同じ問題があると思います。次回挑戦するかも知れませんが、その前に、全ての車両型のドア幅を前もって調べる必要がありそうです。ちなみに欧州の列車でこの手の問題が起こった事はありません（その代わりに段差の問題がありますが）。
　ここまでは想定内だったのですが、想定外の問題もありました。それは地下鉄の入口と地下街です。
　西鉄終点の天神で介護の土産を買った後に、地下鉄で宿まで帰ろうとしたところ、地上のどの周辺地図にもエレベーター口の場所が書かれていません。それどころか、地下鉄入口のどこにもエレベーター口への地図がありません。以前地下鉄かた地上に上がった経験はありますが、そんな場所は覚えていません。結局、散々探しまわった挙げ句、バスで帰りました（結果的には楽でしたが）。
　要するに、予めエレベーターの場所を知っている人間だけしか地下鉄に入れないと言っているようなものです。京都では有り得ない話で、欧州でもそういう地下鉄はほとんど見た事がありません。福岡市交通局にかなり幻滅してしまいました。西日本新聞あたりに投書すべきことなのかも知れませんが。

　今回は５年ぶりに介護を連れて行った（新幹線を利用する上に、法律が変わって現地介護を使った場合の補助が７月に打ち切られた）ので、京都でも福岡でも丸１日ずつ観光をしましたが、今まで（いつも親戚や友人に車で連れ回してもらった）と異なり、今回は数ヶ所、介護と２人だけで出掛けました。その一つが約３０年ぶりの太宰府で、行きは香椎駅からJRと西鉄で、帰りは西鉄とバス（上記）で出掛けております。かかった時間だけをみれば、新幹線で鹿児島往復が出来るほどなので、もしもJRパスを使う事があったらそうする気がします。
　観光は他にも外国人向けスタンダードと言える京都二条城（３９年ぶり）、金閣寺（３４年ぶり）、三十三間堂（３４年ぶり）や福岡志賀島、熱田神宮などを回りましたが、この中で驚いたのは京都の観光地の身障者対策の見事さで、二条城の室内用車椅子貸し出しに感心したのも束の間、三十三間堂の歩行器貸し出し（車椅子はもちろんある）にはすっかり驚きました。ランク付けをするなら、（１）三十三間堂、（２）二条城、（３）太宰府天満宮、（４）金閣寺、（欄外）熱田神宮といったところでしょうか。

　最後にホテルの話です。
　今回の滞在は京都と中部空港は東横インにしました。数年前に身障者室を無許可改造したとかいうニュースで悪者扱いされましたが、身障者の私からみると、基本的に類似のフォーマットの部屋の身障者室を、他のどのホテルより安くで提供するネットワークは、部屋の構造のチェックが省略でき、かつ介護をも連れて行かなければならない者には非常に好都合で、そういう部分はもっと評価されても良い気がします。とにかく他のホテルだと、身障者室というだけで格安料金が存在しませんから、そういう意味では頑張っている気がします。宮崎と福岡以外では多用しそうな気がします。