よく、火曜サスペンス劇場とか金田一少年の事件簿とかみていると、 『犯人は左利きの男だ』とか、『この自画像は鏡を見て書いているから 実は右利きだ』という話で犯人を特定することがよくある。 でも、人間の利腕って本当にそんな厳密に決まっているのだろうか?
人と話をしていて、「右利きですか?」と聞いてみよう。「はい右利きです」 「いいえ左利きです」と答えられるのがオチだが、私は 「7割右利きですね」と答えることにしている。 (が、聞かれたことがないので答えたことはない) なんでそんな偏屈な答え方をするのかというと、 自分が右利きか左利きか良くわからないからである。
例えば、鉛筆やはしは右でもつし、そろばんも右だが、 ハサミは左、かといって包丁はカッターは右だけど、 裁縫は左、テニスは右だが、野球は右投げ左うち、という感じ。
この右利き左利きの話題になると当然出てくるのは、親による「矯正」というもの。 幼児期に箸を右に持たせ、鉛筆を右に持たせ、ハサミを右に持たせ、 結局右利きになるということ。 欧米では矯正しないといううわさを聞いているが本当なのだろうか。 また、矯正しないと左右半々になるのだろうか。 これは長年の疑問である。
右利き優勢論者は主張に足る根拠を持っていない。
「日本では右利きが多いから」
「外国映画とかを見てても左利きより右利きが多い気がする」
「大リーグだって右投げとか右打ちの方がおおいよね。だって石井一(左投げ)を欲しがってるんだし」
「有名なゴルフ選手ってみんな右利きだよね」
すべて状況証拠である。
しかし、左右半々論者は、
「幼児がはしを右で持つか、左で持つかは確率的に
半々であり、したがって右利きと左利きは半々である」
と主張するだろう。これはたしかに利に適っている。
ここで用いられる仮定は
「右利き左利きは全くの後天的なものである」
ということだけである。
この左右半々論を打ち破るのに
1. この仮定(「後天的」)は正しいか
2. 「確率的に半々」か
3. 「したがって」が本当か
という点を検証しよう。(この証明法を仮定法、とか帰謬法という)
1. や2. は、明らかに間違いである。人間、左右対称ではない。有名なのは 心臓がちょっとだけ左側にあるとか、右脳・左脳の役割がちがうとか、 サウザーは左右反転した体だったとか、ドクターKは左右逆になる鏡を見て 手術したとか。つまり、人間先天的に左右非対称に創られた(進化した?) 物体だから、右利き左利きが先天的に決まっていても何の不思議もないのではないか。 また、仮に後天的であっても、確率的に半々である必要はない。 内蔵の位置の非対称や、左右脳の分化がおこってしまえば、 箸を右で持つ人が多くなっても構わないでないか!
3. についてはこんな思考実験をしてみよう。「箸を右で持つか、左で持つか」は 半々、「鉛筆を右で持つか」は半々、「ハサミを右で持つか」は半々、、、 と続くと、「箸は右、鉛筆左、ハサミ右」という私のような変な人たちが増える。 ということは、右利き左利きという分化が起こらないではないか!
あー、これで1.2.3.すべてが否定されたから、無事帰謬法によって 右利き優勢論が証明された。(本当か?)
さーて、話はどんどん逸れていったけど、 難しい話はこれくらいにして、左利きでやばいことやって 右利きのふりして生きていこうかな。