キルナに来て一年、一つの懸案はトランスポートだ。研究所までの往復はこれまで自転車やバス、一ヶ月に一度程度の小旅行は風間さんの車を出してもらって、などなど。やはりここまでの田舎だと車は生活必需品である。こちらに来たときには一年の滞在しか確定していなかったので先延ばしにしていたがここに来てさらに2年の滞在延長が決まったのでようやく意を決することができたわけである。
スウェーデンと言えばやっぱVolvoでしょ、いやいやSaabもありますよ。どちらも日本では高級車だし、中古市場の流通なんてほとんどない。折角スウェーデンにいるんだから、まあどっちかがいいかな、それでも他のメーカーのコストパフォーマンスがよければそれならそれでもいいか、というのがホンネなのである。さらに言うならVolvoの方がカクカクしててSaabの方にとりあえず分があるかた、というのがさらなるホンネではあった。
本題に入る前にまずは日本での中古車購入との比較について考えてみよう。フタアナは日本の中古車事情にはそれほど詳しくないのだが、昔トムタケ氏にシビックを譲ってもらったときの経験からかなり繁雑なシステムであることだけはわかっているつもりだ。車庫証明の書類がどうとか、重量税の納付がどうとか、ナンバープレートの登録に何とか事務所で手続きして、とか。まあ中古車ディーラーから買うと多分ディーラーが全部やってくれると思うのだが手数料がかかると思う。一方キルナでは、一年前に車を購入した風間さんに聞くところによると大根を買うのと同じような感覚で買えるらしい。
といいつつキルナで大根を買うのは非常に難しい。大根売ってないし。
他に日本では信じられないことに、キルナの方は中古車の製造年や走行距離が尋常ではないという点が挙げられる。もちろん車種によるが例えば新車はやっぱり300-500万円ぐらいする。日本でのVolvoやSaabの値段とはそれほど滅茶苦茶は変わらないのである。ところがほんの数年、10万キロ走っただけの車は200万するのだ。10年走って17-18万キロとか走ってて100万、15年ものだと50万ぐらいのものもある。日本人は一般に車を簡単に買い替える人が多いし、7年10万キロが一つの目安だと思うし、やはりキルナではこの年数とキロ数でこの値段かい、と思ってしまう。
キルナはかなり寒いし、湿度は低いし、海岸からは遠いしで、車にとっての天敵がいないといえばいなばいない天国のような土地であるのは一つの要因であろう。また、逆に言ってスウェーデンでも南の方から来た車は故障が多いという話なので、とりあえず歴代のオーナーの住所を調べることも重要なのだそうだ。
ということでまずは情報収集である。キルナの週間新聞のようなものが毎週水曜に無料で届けられるのだが、その中には中古車情報が必ず載っているのでそれをもとに動くことにした。価格帯としては100万未満(約70000クローネ)、あわよくば80万程度(約50000クローナ)を考えた。まあポスドクとしてはこれぐらいが精一杯である。それより安いものだと古かったりかなり走ったり、何らかの問題があることが多いという話で、逆に修理やら補修に手間がかかる可能性があるのでとりあえず避けることにした。
いくつかの業者をチェックして、まずはVolvoの中古車代理店とSaabの中古車代理店を1軒づつIRFの風間さんに車を出してもらって覗くことにした。風間さんは去年Volvoを買ったというわけでまずは勝手しったるVolvoに向かう。体育館のような車庫にVolvoだけではないが20台程度の中古車が展示されていた。Volvo 850 GLT 2,5という92年製で24万キロで54000Kr、同じくで93年製で18万キロ程度のものが59000Krであった。後者はキルナにはなく近くのイェリバレにあるらしいが店員によると後者がおススメだということだ。しかし実物がなかったのでとりあえず保留にし情報だけもらって、次にSaabに向かう。
Saabの方は2つチェックしていたのがあった。どちらもSaab 9000 2,3という種類である。高い方が59000Krで93年製17万キロ、安い方は43000Krで91年製20万キロだった。同じ型番だったが外観はちょっと違っていた。高い方はメタリックボディで安い方はクラシックである。見た感じは高い方がよさそうであるしフタアナ的に外観はVolvoよりも好きな感じだし値段もちょっとはるが予算内だ。
基本的にはここで現金で一括で買うというのが格好良いのかもしれないが(←そうか?)、基本的にこの値段の買物だからもう少し考えないといけない。午後に試乗しに行くことにして一度研究所に戻る。IRFのジャガー乗り、車にとてつもなく詳しいヘルマンの意見を聞くのがいいというのは衆目の一致するところである。が、
ヘルマン休み
こんな日に限って、、、ということで独りで試乗に向かう。試乗も車のキーを貸してくれ、仮ナンバー(磁石で貼るだけ)を付けてくれて「いいよ」ってな感じである。こちらの身元などは調査なしである。このまま乗り逃げされたらどうすんだ? 研究所まで走り、かなり良い感じで動いていることを確認する。フタアナはそれほど詳しくないのでサーシャとグレゴリーに乗ってもらう。サーシャはヘルマンほどではないが詳しいのでいろいろと意見を聞く。いくつかマイナーな問題はあったが大筋では問題なさそうであるというのは全員の一致する意見。よって
即日購入
となった。
さて購入手続きであるが、「欲しい」と言ったら「保険はどうする」と言われ、「値段はいくらだ?」「調べよう」となった。いわゆる車両保険は外すことにして年間約5万円である。税金は一年15000円程度で、これは安いと思う。免許を出してコンピュータを通してなにかごちょごちょやっていたようだがほんの10分程度で完了である。契約書にサインしてお金払ったら「そのまま乗って帰っていいよ」。
おいおい本当に
大根買うより簡単
じゃないか。