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リハビリ記録その162

2016-5-1
山内正敏

 例年なら3週間前には10km歩行が出来ているはずですが、歩道に未だに雪が残っていて、最長7kmが1回という状況です。代わりに今春はスキーを(毎回700-800mという短距離ながら)9回すべっています。

 雪が残っているのは毎春に行なわれる「歩道/車道に踏み固められた雪の除去」が行なわれなかった為で、恐らく不況による減収で省略されたのだろうと思います(文句を言わないと行なわない)。
 そんな訳で、歩行の方はろくなタイムは出ていませんが、プールの方は今年しか出来ないがあり、松葉杖もなんだかんだ言って昨年春に近い調子にはなっています。何よりも、ウイーン(携帯用の歩行器)ではホテルから会場までの2キロ半を4日間(月曜〜木曜)で5往復歩いていて、加えて到着した日曜の午後には3時間ほど歩いているので、その意味では昨年よりも体調は良いかもしれません。取りあえずの目標は3週間後のハーフマラソンなので、否応無しに練習は増えると思います。
 そのウイーンですが、なんとホテルで独力でのシャワーを2度もこなしました。Ibisホテルの身障者室の仕様が非常に良いというのもありますが、とにかくも、今後の旅行を考える上で大きな一歩です。このぶんだと、介護ではなく、荷物持ち(+靴の脱着と服のボタン)だけの補助での旅行も5年以内に可能になるかもしれません。そうなれば、例えば出張でも、介護の労働基準法「最大11日規則(+2日連続休み)」を超えた出張とかが、同僚さえおれば可能になりそうです。まあ、そういう出張自体、個人的には避けたいですが。
 出張といえば、欧州の航空会社の「歩行器/車椅子に関する予約案内」がより統一化されて、身障者サービスを予約する段階で歩行器のサイズと重さを尋ねてくるようになりました。利用者が増えて荷物室に入り切らないほどの車椅子類が一つの飛行機に集中するのを避ける措置だと思います。身障者対策は少しづつ進んでいるようです。
 自力と言えば、尿袋を自力で交換するのもかなり成功率が上がって来ました(とはいえ、未だに緊急時しか試さない)。これは介護のアレンジが難しい場合に一種の安心感を与えてくれます。実は今日も、介護が朝晩1時間ずつしかいません。不況なのに介護不足という妙な状況で、ちょっとヤバそうな人を試しに週末に入れたら、僅か半日でプイと止めてしまったからです。ここまで酷い経験は初めてでした。
 介護会社のアレンジ担当が、結構ひとを見る目が信頼できるので、誰でも試していたのですが、その担当が始めから心配していたような26歳で、現に、私すら金曜の朝に訓練(見学)にきた時に、会ってほぼ瞬間的に「コミュ障どころでない異常」を感じたほどです。見学時の説明を、実際の仕事となった翌日には一言半句も覚えておらず、外出の際に私の歩行器を無理やり止めて家に帰らせようとしたりで、意思疎通を図る為に少し相談しようとした途端、「止める」と言って、結局半日も持ちませんでした。難民の、しかも教育を受けずに言葉ずら通じない人のほうがマシと思えるほどでした。なんでも、私の専属介護の子供の頃のご近所さんだったそうで、その頃から話が通じない子供だったようです(なので、専属介護はトラブルを予見していて、呼び出される事を覚悟していた)。
 「ひとの言うことに耳を貸さない」いうのは、百年前なら「自業自得」とばかりに斬られていたでしょうが、現代の「全体の中の歯車的」仕事では、仕事に立ち会う事が、非生産的どころか反生産的存在になりかねません。だから、歯車的仕事に就くという前提を適用するのは極めて不味く、むしろ精神的・知的な病(=治療で治せる)や障害(=リハビリ程度しか手段がない)の一種として国や県のしかるべき機関で補助する(非常に低効率の生産であっても、普通の人なみに給料は貰えるべく、差額を補助すれば、これより安いことはない)のが正解で、実際、そういう制度が(不完全ながら)存在します。
 しかし、なぜか教育記録の限りでは「文字による知識」は高卒レベルに達し、「コミュニケーションを必要とする仕事」を教師(おそらく一人)が「あなたはやれば出来る子」みたいに推奨していた節があります。それで必要以上の自信をつけさせてしまったのでしょう。この種の判断を現在の教育システムですることの難しさを感じます。
 さて、今年の仕事/出張ですが、各提案書の締め切りが出そろいました。
スウェーデン小型衛星(2020年打ち上げ)のミッション提案書:6月30日
欧州(ESA)大型〜超大型衛星(2030年代半ば打ち上げ)の科学提案書:9月14日
欧州(ESA)大型衛星(2029年打ち上げ)のミッション提案書:10月5日
というわけで、一昨年の秋の再来の忙しさになりそうです。

 最後に無駄話です。
 ひとみ衛星の「プログラム修正ミス」による故障に、他人事ではないと戦々恐々としています。観測装置レベルではあまりにもあり得る話だからです。
 どんな観測装置であっても、初期観測でいろいろテストした結果、より最適の結果を求めて、観測装置の制御プログラムを修正するのは当たり前で、その際に、原則としては地上にあるはずのダミーモデルで修正を試して不具合がないことを確かめてから、実際の衛星に修正プログラムを送るわけですが、現実にはダミーモデルなんてなく、頭とパソコン上でしか安全を確認できません。幸い、大抵の修正は、全体のプログラムの一部分を少し書き換えるだけで済むので、トラブルがあることは滅多にありませんが、もとのプログラムが非常に賢い場合、一部だけ変えた影響が他の部分にもでることがあります。だから、衛星とは関係なく、データ解析やモデルで、ちょっとパラメターを変えただけのつもりが、全然間違った結果になっているってことが経験上、毎回のように起こっています。
 ということは類似のトラブルが、もっと影響の大きい装置で起こってもおかしくなく、特にそれが宇宙とか原子炉内部とか人間の手の届かない場所で起こったら、今回みたいな悲劇になりかねません。そういう意味で今気になるのが世界中に散らばる原子炉の制御プログラムです。思えばチェルノブイリ事故も「新しい運転方式」のテストの結果起こった訳で、プログラム社会の怖さを痛感させた「ひとみ」失敗でした。

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