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リハビリ記録その126

2013-5-12
山内正敏

 順調に雪融けが進み、冬の間に道路に撒かれた凍結スリップ防止用の砂利の掃除も例年より早めに進んで、長距離歩行に相応しい季節になってきました。こんな年に限って体調は最悪で、先月の学会で拾った風邪が治った途端に腰を傷め、それがかなり良くなった途端に再び風邪をぶり返して(3月以来3度目)、十分な長距離歩行が出来ず、2週間後のハーフマラソンに間に合うのか不安です。

 リハビリの一番の敵は、腰痛などの体の故障です。転倒による怪我や風邪は、それに比べたら些細なものでしかありません。
 中学時代に膝を痛めて(関節炎系統)2ヶ月体育が見学になったり、高校時代に癖になる捻挫をしてしまったり、大学以来のランニングで腰痛の常連になったりしているので、リハビリの際に陥りやすい故障は良く分かっています。そのお陰(?)で、リハビリ訓練量に比べて故障の類いが遥かに少ない自負がありますが、それでもちょっとした気の緩みで故障に繋がる事があって、今回の腰痛もそうです。これは、車椅子長時間使用からくる座骨神経痛と違い、力を入れた時に痛みが来る一過性のタイプで、原因はプール訓練で太腿が吊りそうになった時に、それを誤摩化してメニューを続けた事にあります。今までなら、吊りかけた段階で、メニューを完全に変えて癒すタイプにしていたのですが、この日はそこまで気が回らなくて、結果的には全治一ヶ月(と思う)の腰痛となってしまいました。
 癖にならないとも限らないので、階段訓練等の無理を控えていますが、だからと言って多少の松葉杖訓練まで完全に止めてしまうと、それはそれで筋肉が退化して逆効果になります(1ヶ月でも影響が出る)。なので、負荷や距離を6割ぐらいに落として訓練を続けています。
 故障=完全静養が最適でないと分かったのは関節炎の経験からです。これは関節を支える筋肉が不十分だから関節に無理が来るのであって、今回の腰痛も太腿と腰の筋肉が不十分だから腰に無理が来たものです。40歳代と違い、50歳代は体が下り坂の筈なので、「筋肉が弱い日がある」という前提で、体調の悪い日の対処をしなければなりません。
 こんな状態なので訓練は低調ですが、それでも10キロ歩行を2度したり(昨年のベストより6分遅いが昨年同時期よりは若干速い)して、少しずつハーフマラソンの準備をしています。昨年、一昨年とちがって距離訓練が全然足りないのでスタミナに不安がありますが、それでも記録更新は狙えると思います。

 歩行と言えば、新しい歩行器の入手で手間取っています。
 今の歩行器は2005年2月から使用している8年もので、恐らく世界で一番使用距離が長いと思いますが、その為にブレーキが壊れかかっていて、下り坂でほとんど役に立ちません。そこで1月に県の身障者補助用具係(県病院の中にあって、歩行器や車椅子などの調整をする)でブレーキの交換を頼んだ所、新しい歩行器にすべきだと言われて、体操療養師とも相談して、同じタイプを2月に入手しまいた(身障者補助用具係に届いた)。そこまでは良いのですが、そのブレーキを今使用中の歩行器のように、指が効かない人間用のブレーキに代える段階で止まっています。以前は、ブレーキを担当者が(歩行器制作会社の了承を得て)特殊ブレーキに取り替えたのですが、それが出来ないと言ってきたのです。始めは「特殊ブレーキが入手できない」と言う意味だと思っていましたが、数ヶ月してもラチがあかないので、何度か聞き直して、ようやく「特殊ブレーキと一体になったフレームが入手できない」と言っている事がわかりました。
 そんなものがある筈がありません。だから今の歩行器に特殊ブレーキを取り付けたのと同じように、フレームを残してブレーキ部分だけを替えるように提案したら
「転倒でもしたとき、それがブレーキのせいでなくても、改造した自分に責任になるから」
と拒否されました。
 担当者は8年前から3度代わっていて(古い担当者は全て給料の高い鉱山会社に引き抜かれた)、今の担当者は1年前に採用された人です(なまりと名字からして移民らしい)。なので、身障者に合わせた改造をするのが県の義務である事を知らないようで、これから県の担当者などと相談して、キチンと必要な書類を整えてもらう予定です。これは単純に書類の問題の筈です。こんな具合で、鉱山会社が技術者を尽く囲ってしまう弊害が身障者部門の方に来ています。

 最後に例によって無駄話です。
 福島事故以来、放射線がらみの副業に追われている私ですが、本業のほうでも昨年から本格的に放射線と格闘しています。もっとも放射能汚染がらみのガンマ線(電磁波)ではなく、放射線帯の電子や陽子で、特に電子は観測装置の壁を突き抜けて直接センサーに反応する為に、この偽カウントが、本来測りたい粒子のカウントを隠してしまう問題があって、この隠れた部分を抜き出す作業を地道にやっています。この問題は将来ESA(欧州宇宙機構)が打ち上げる木星探査機では更に深刻で(地球の数桁も放射線が強い)、これへの対策(例えば壁を分厚くするとか)がプラズマ測定の成否を決めますが、そういう事まで考えたキルナの測定器(同僚が責任者)がESA木星ミッションに乗る事になりました。2月末の事なので知っている人も多いかと思います。
 日本と違って欧米ではミッションに載せる装置を厳しい競争を通して決めます。今回の木星ミッションのうち、プラズマ観測装置は、スウェーデン+スイス+ドイツ+米国東岸+宇宙研を中心とするチームと、フランス+イギリス+イタリア+米国南部を中心とするチームの一騎打ちで、ここ4年程、デザインに関する箝口令を敷くなど、責任者である同僚は非常にぴりぴりしておりました。ちなみに今回落ちたフランスチームですが、そこの研究所の人と件の同僚とは現在運用中の火星・金星ミッションで一緒にやっており、木星ミッションにあまり携わっていない私も、件のフランスチームとは別のミッションを昨年から提案していて仲良くやっております。これがこちらの競争のスタイルです。ちなみに、この木星ミッションは20年がかりのプロジェクトで、木星到着が最短でも私の退職後(61歳〜67歳から選べる)になります。

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