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リハビリ記録その92

2010-7-4
山内正敏

 6月は寒風でなければ雨という天候不順な毎日で、体感的には4月の方が暖かいような日も少なくありませんでした。天候だけでなく、リハビリも旅行も全てが散々な月でした。マトモだったのは研究ぐらいでしょう。元を正せば4月に飲み始めた胃薬(胃酸をおさえる薬)が全ての元凶のようです。

 ケチの付け始めは、先月のレポートを書いた翌日の歩行で感じた左足首で痛みです。その翌日には骨に響く痛みとなって、歩行器を使ってですら、びっこを引かないと歩けなくなってしまいました。歩いた時に捻りでもしたのかも知れないと思い、プール以外のリハビリを全て止め、プールも訓練ではなく軽く動かすだけにしたものの、回復の様子は無く、数日後には買い物にすら行けないほどに酷くなって(介護に代わりに行って貰った)、体重を少しでもかけると足首のみならず、臑の骨まで痛くなってしまいました。一週間しても良くなる兆しが全く無く、一番考えられるのは疲労骨折(ひび)です。幸い、レントゲンではひびとか見つからず、更に貰った塗り薬が効いたお陰で、最悪の事態は免れましたが、ともかくこの騒動で歩行訓練は3週間完全に止まってしまいました。
 タイミングの悪い事に、病院に行った翌日にはノルーウェーへの4泊旅行が控えています。私一人だけの問題だったら無条件にキャンセルしていましたし、もしもレントゲンで骨折という診断でも下されていたらドクターストップで本当に行けなくなる所です。でも、日本からの友人と現地で待ち合わせて、ホテルとか私が先に到着する事を前提にした形で予約していた為に、キャンセルしずらい状態です。それに、考えてみれば旅行中は基本的にバスや汽車に縛られるから、歩く機会は減る筈です(結果的に足首の静養になったのも事実)。結局行く事にしました。不安は大きいし、もちろん旅行を十分に楽しめる体調とは到底いえませんが、これは他人と旅行を組む時に必ず出て来るリスクです。せいぜい、限定条件で最大限に楽しむしかありません。
 旅行は天候も悪くて、雨が降らなかった日は一日もなく、4日目などは丸一日の大雨でまったく外に出られませんでした。移動時ですら2日目を除いて小雨が降り、景色も不十分です。しかも、3泊した宿(Tysfjord Turist Center)で、新人の受付が支払いを一桁打ち間違える(4万円のところが40万円)という大きなミスがあり、差額自体は銀行振込で戻ってきたものの、ノルウェーとスウェーデンの通貨の為替の違い(買う時と売る時とで2.5%ほど差が出る)の為に1万円近く損をした結果になって、現在交渉中です。法的には金額を認証した私のミスで、ホテル側が規定の料金以上は取っていない訳ですから、1万円が帰って来るか来ないかは、ホテルが信用度をどの程度重要に思っているかにかかってきます(結局戻って来なかったから、まあ、そういうホテルだという事)。ちなみにクレジットカードを読み込む機械に金額を打った受付も、それを認証した私も、桁の間違いに気付かなかったのは機械の金額表示が小さ過ぎる事に加えて
2550 NOK => 25550 NOK
という違いのせいで、真ん中の数字が一つだけ多いという見逃しやすいタイプの金額だったからで、実は私は宿のスタッフが翌日指摘するまで気付きませんでした。受付は他にも私に身障者非対応の始めにロッジをあてがうというエラーもしており、要するにそういう未熟な受付がいるのは旅行の大前提で、逆に言えば、少なくとも移動中は普段以上の注意と集中力が必要という事になります。
 ホテルを信じ切って、認証時に金額を確認しなかった私も抜けていますが、体調のおかしい時に、現地語を話さない他人と一緒に旅行すると、どこかで抜けるのは仕方なく、こればっかりはどんなに気をつけても将来も防げないと思います。もちろん、防止の為のクレジットカードの上限を下げるという手はありますが、いつ、どこで日本行きのチケットを買わなければならないか分からない(19年前の母が他界した時に緊急に買った時が往復90万円で、今でも緊急時だと50万円かかる)事を考えると、カードの上限を変えるという手段もあまり現実的ではありません。結局の所、今回のトラブルは、体調に問題があるにもかかわらずに旅行を決行した時のリスクに当たってしまっただけという事にもなります。今後、旅行計画を立てる際は、私に健康上の問題があった時に即座にキャンセルしやすい形で旅程を組むようにしようと思います(でも、この教訓は9年前の発病でも学んだ気がする・・・)。
 こんな具合の4泊旅行ですから、脚の静養にはなっても体全体の疲れは溜まる訳で、帰って2日後には熱を出してしまいました。その後も数日、体がマトモに動かず、旅行から1週間後にようやく体調が戻り、足も何とか歩けるようになりました。でも不調はそこで終わりません。軽い訓練をすると、故障の足首とは全然ちがう太腿や腰の筋力がないし、持久力もまったくありません。今までにも風邪とかで暫く体調が整わなかった事があったのですが、それと本質的に何かが違うのです。それから2〜3日して、違和感の原因が筋肉の疲労の回復が極端に遅い事と、スタミナ切れが酷い事に気がつきました。昔からランニングとかやっているお陰で、これらの症状が鉄分不足から来る事を経験で知っています。しかも白夜でただでさえ貧血になりやすい時期です。もちろん、貧血気味な事はずっと前から気付いていて、レバーとか鉄分の多い食事をとっています(普通の夏ならそれで問題ない)。でも、今年の症状はそういう対策が全く効いておらず、こうなると栄養の吸収がおかしいとしか考えられません。折から、唇の粘膜炎という、野菜が欠乏した冬にしかかからない症状にも罹っており、ここまで来ると食事の問題でも、足首の故障の問題でもなく、要は消化器の問題です。
 考えられる原因はただ一つ、胃酸をおさえる薬です。これは4月に逆流性胃炎を患った時に処方された奴ですが、本格治療の為でなく、対処療法としての薬です。処方薬だから強い薬な訳で、そういう『体の機能を押さえる』対処療法を2ヶ月も飲む事に間違いがあり、1ヶ月は効果と副作用の勘案で効果に軍配が上がっても、2ヶ月となると効果よりも副作用が問題になるのは当然です。今にして思えば、足首がおかしくなったのも、胃薬のせいで回復力が極端の落ちていたのに、普通の訓練(5月のレベルは昨夏以下で、訓練と訓練の間の休養は十分に取っています)を続けたせいで、疲労骨折に類する何かが起こったと考えるべきです。
 想定以上の副作用を実感したら薬は即座に止めるのは鉄則ですから、その日から薬を止め、ここ数日は代わりに鉄剤を飲んでいます。慢性的に対処療薬を飲む事の怖さを思い知りました。現在、薬を止めて5日になりますが、回復力は先週より明らかにマシになっていてます。それでも、薬を飲む前の体調に戻るまでに1ヶ月かかると踏んでいます。
 逆流性胃炎がらみでは対処療薬の他に胃カメラ検査もありますが、その予定日がたまたまノルーウェー旅行の日程と重なったので日程を調整を頼んだ所、それで緊急度が低いと判断されたのか、調整を頼んで1ヶ月近くになるのに未だに新しい検査日が決まっていません。癌の類いでない事を祈るばかりです。ちなみにこの国では医療費節約(高福祉を支える条件の一つです)のため、緊急度の低い症状では検査なんかしません。足首の問題が起こった時に翌日でなく翌週に医者に行ったのはそういう理由からです。

 最後に例によって無駄話です。
 今回のノルーウェー旅行では現地で落ち合う事もあって、私の予備の携帯を日本の友人に送ったのですが、これが3週間かかってしまって、出発数日前まで冷や汗ものでした。原因は私にあり、なんと日本語で書いた宛先の一番下に Japan と書くのを忘れていた為です。そのため、封筒は何故かカナダに送られ(そこで差出人に戻らずにカナダに行ってしまう所が怖い)、カナダの郵便局のスタッフに漢字が読める人がいたのか、或いは日本の郵便番号の記号を日本と認識出来る人がいたのか分かりませんが、そこから日本に送られた次第です。よくぞ届いたものだと感心してしまいました。

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