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リハビリ記録その90

2010-5-1
山内正敏

 厳冬から一転してマトモな春となり、例年よりも順調に雪解けが進んで(とはいえ今日は吹雪積雪ですが)、本格的な歩行シーズンとなりました。道路の砂利(滑り止め)すら例年より早めに清掃されて歩きやすくなっています。

 雪解けでスキーは全く出来ませんでしたが、代わりに長距離歩行(8〜9km)を数多くこなしています。少し寒いにもかかわらず、ここ3週間で研究所からアパートまで8kmを5回、週末には坂の多いコースを7〜9km歩いて、結局、3週間だけで80km以上歩いています。研究所からアパートまでの歩行が5回目に達したのは昨年も一昨年も7月で、その前の夏(2007年と2006年)は夏全体で3回しか歩いてませんから、相当に速いペースで距離訓練を始めている事になります。早めのシーズン開始となったのは、スポーツ少女(5月から鉱山に転職)が4月後半を殆ど担当したお陰です。
 もっとも、タイムの方はいまいちで、昨年のベストがなかなか再現出来ません。脚力は確かに昨夏よりもついているのですが、テンポとかスタミナとかは別物のようです。もしかすると、スタミナだけは普通に回復しうる限界に達したのかも知れず、実際、標高差150mの8kmを1時間35分前後(平均5.0km/h)で歩いている訳ですから、これ以上の『回復』を望むのは贅沢かもしれません。しかし、1km平地だったら10分で歩けるので、欲張って6km/hまでは簡単に出せる筈だと云う思いがあって、取りあえずは、記録更新が出来ない理由を寒さのせいと思う事にしています。
 このように距離歩行は昨年から進展がありませんが、坂道は違っていて、特に下り坂が少し早くなっています。これは普通の運動靴よりも冬用の重い靴の時にその傾向が強く、試しにタイムを計った所、重い雪靴の方が運動靴より下りが速いという結果がでて少々驚いております。これはひとえに重い靴のほうがバランス確保に有利だからで、その事は実は冬の松葉杖訓練や平行棒訓練で感じてはおりました。そこで、きっちりとタイムを計って調べた訳です。異なるコースで何度かチェックいるので間違いありません。運動靴よりも重い雪靴のほうが、急な下り坂では確かに1割以上も速いのです。下り坂は重い靴、それが測定結果。こんな事ですら常識とか先入観とかが捨ててかからないと、ちゃんとしたリハビリは出来ません。

 先月は長距離歩行に半ば専念したので、他の進展は余りありません。それでもプールでは階段3段目半(片足が水深65cm、片足が水深50cm)で、片手を膝に添えて立ち上がる訓練では、かなりの頻度で左右とも10回ずつ出来るようになりました。一年近く前に始めた訓練ですが、5回ぐらいで挫折する事の多かったメニューです。あと、階段5段目(水深35cm)での四つん這い屈伸ですが、手を少し遠目について(=脚の負担が大きくなる)、腰を伸ばした状態から少しだけ曲げる訓練が、膝を曲げる角度がかなり深くなっています。あと半年もすれば座った状態まで曲げられるようになるかも知れません。これが出来ると、いよいよ床運動で同様の訓練に挑戦する事になります。脚以外では、先月は巻寿司を巻くのに挑戦して、なんとか巻く事ができました。中身がこぼれないようにするには、指を最大限に使わないといけないので、指の回復度を測るバロメーターと言えるでしょう。ゆっくりながらも、確かに手指も回復している様です。

 リハビリ以外では2件ほど。まず、先月先々月お知らせした介護メンバーの変更の件ですが、結局5月は新しい介護2人に殆ど任せる事になりました。一人は4月中に何度か来てすっかり慣れたので全く問題ありませんが、もう一人は未知数です。それでも直ぐに介護が見つかる私は良い方で(例のスポーツ少女がチームメートに推薦してくれるお陰)、鉱山景気が本格的に回復した今、他の介護サービスは介護の確保に苦労しているようです。
 もう一つ、正月にお知らせしたアルランダ空港の問題点(身障者トイレが殆ど無い)ですが、その後の慇懃無礼なやり取り(返事は丁寧だけど、何も約束しない)に業を煮やして、 差別オンブズマン に連絡を取ると共に、例によって各政党にメールを出したのですが、オンブズマンからの返事によると、スウェーデンには差別禁止法はあっても、公衆施設に身障者設備(トイレ等)を置く事を要求するような法律は存在しないそうで、この不備についてはEUのコミッティーからスウェーデンは批判を浴びているそうです。スウェーデンの意外な一面です。政党からの返事は、一応、政府が法案を考えてはいるけど(草案を送ってくれた)、今年中に法律が出来る見込みは無いとの事で、ある政党に至っては『どうしようもないので新聞に投書してくれる?』と逆提案される始末でした。
 そんな訳で3月に全国紙 Dagens Nyheter に投書したら、即座に 採用されました。
私に出来る事はこれ以上ないので、暫くは様子を見るしかありません。法案の上梓が少しでも早くなる事を祈るばかりです。ちなみに リハビリ84でお知らせした、昨年10月末の病院改築問題は、文句を言ったのが私だけでなく、全ての利用者に不評だった事から、お役所にしては珍しく早い対応となって、先月、不完全ながらも再改築されました。文句は言ってみるものです。

 最後に例によって無駄話です。
 今冬は17年ぶりかの厳寒で、バルト海が急速に結氷して、フェリー等が氷に閉じ込められる等の事件がありましたが(日本でも報道されたと思います)、これが南極観測計画に影響を与えるかも知れない可能性が取り沙汰されています。というのも、フェリー救出に必要な砕氷船が、南極観測隊(夏隊)の支援の為に南極に行っていた為に不在で、
『必要な時に無い』
と批判を浴びた為です。だから、もしも来冬も厳冬だと、スウェーデンの南極観測が中断されるかも知れません。寒波は地球物理的には面白い現象ですが、それを喜んでばかりもいかないようです。
 寒波と云えば、乾燥による静電気( リハビリ87 :これも今となれば面白かった)を連想してしまいますが、春になって湿度が高くなったので、静電気対策のアース線を外して、冬と同じ廊下を歩いてみました。静電気は全く溜まらず、乾燥が前提条件である事が確かめられました。ちなみに冬場は、アース線を外して何メートル歩いたら髪の毛が逆立つかという実験もしていて(約50mで十分だった)、来年冬はきちんと電圧計を装備して、しっかりデータを取ろうかと考えています。もしかすると、これで研究費が取れないとも限りません。

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