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リハビリ記録その56

2007-7-8
山内正敏

 スウェーデンでは連続3週間は休まないと休暇にならないという学説が広く信じられており、その休暇の集中する7月は研究所も病院も空っぽになりますが、その休暇に私も金曜日から突入しました。半日程度の仕事が3つほど残っているものの、それは天気の悪い日を選んでやる予定で、取りあえず手始めにのんびりしております。ただし、休暇でなくても6月は会議や学生始動などの雑務が一気に減るので、平日でも冬の週末並みにトレーニングの時間が取れておりました。当然進展もあります。

 まず歩行器ですが、先月も書いたように膝バンドを外す訓練をしていて、毎日のように肘歩行器によりかかりながら膝バンド無しで(ただし足首固定器ははめているけど)歩いていますが、その成果が上がって、一昨日には(昨年来タイムを計っている)6キロコースを1時間半で歩くという、自分でも信じられないペースで回りました。同じコースのタイムを過去と比較すると
  膝バンド付き(普通の歩行器)  膝バンドなし(肘歩行器)  
昨年 1時間48分(4/29)            
昨年 1時間38分(7/5)    2時間21分(8/26)
昨年 1時間28分(10/14)
今年 1時間22分(4/28)   2時間00分(5/20)
今年 1時間16分(6/16)   1時間47分(6/23)
今年                1時間30分(7/6)
と言う具合に、ここ1ヶ月で急に速くなっています。とにかく、昨年の膝バンド付きでのベストに迫るタイムで、これは膝を支える筋力が最低限のラインをクリアーして、肘に体重を少しかければ、膝が自由に伸縮出来るようになった為だと思います。
 このように膝バンド無しでの訓練が普通になってくると、膝バンド付きでの訓練が減って、ここ1ヶ月の訓練は(重いものの買い物を除けば)2回しかありません。歩くのが好きな介護(詳しくは先月のレポート)が辞める前日に9キロ以上を2時間で歩いたのと、陸上トラックで体操療養師と競争した時だけですが、いずれも記録(前者は上記のベスト)を出しています。
 この後者の競争ですが、私みたいにいつもリハビリをしている人間は、リハビリ部門の体操療養師全員と自然と顔見知りになり、その中には冗談口を言い合う者も出て来る訳で、たまたまそのうちの一人(男性42歳)がランニングをやっているところから、冗談半分に「いつか競争しよう」という話を数年来していたところ、よくよくスピードを計算してみると、彼のトラック5周と私のトラック2周が殆ど同じ筈である事に気付いて、それで春に競争する事を提案したら、相手も乗って来て、先週水曜日に競争した次第です。
 結果はゴール1メートル前に抜かれて1秒以下の差で負けましたが、いったい、事前タイムも知らずに、2000m対800mという全然違う距離で1秒以内の差のゴールというのは奇跡に近く、ギャラリー(彼の家族)も大いに盛り上がっていました(何故か彼の子供たちは私を応援してくれた)。これだけ接戦だと、お互いにレースに満足する訳で、秋にもう一度レースする事になっています。ちなみにタイムは8分4秒で、時速6キロ(8分丁度のペーズ)に僅かに及ばないので、秋はこのタイムを目指す事になるでしょう。なお、来年は膝バンド無しでのレースになるかも知れません。
 歩行器と言えば、研究所に行く時も車椅子の代わりに歩行器を使う事がかなり自然になっています。タクシー乗降は歩行器でも車椅子でも余り変わりませんが、歩行器だとバンに乗れるのが少し有利と言えば有利でしょうか。ただ、オフィスの中だけだと、小さな動きとか、物とちょいと運ぶとかいうのが車椅子でないと出来ないので、そのあたりは3年前のレベルに逆戻りですが、まあ、そのうち慣れてくると思います。もっとも、今は休暇なので、研究所での歩行器という「訓練」は8月までお預けになります。お休みといえば、プールも7月はお休みで、その前までにいろいろ小さな進展がありましたが、一つだけを選ぶなら、階段3段目(水深65cm)での膝頭に手を付いての昇降で、3秒ほどの静止が希に出来るようになった事でしょうか。
 夏と言えば、三輪自転車での訓練も当然始めましたが、腰をかばって、ややゆっくり漕いでいます。それでも1時間も漕げば充分な訓練になる訳で、タイムも昨年のベストに比べてそれほど悪い訳でなく(1時間と1時間10分の違い)、ただ、無理をしない、のみを考えて練習しています。腰の事もありますが、三輪自転車は安定性が悪く、タイムを気にするとどうしても下りが飛ばしがちになって危険ですから。

 さて、介護の方は若干の混乱が続いています。3人目の介護(実はトランスバニア人)が辞めたあとに入った臨時(臨時としては2月から時々来ているロシア人)が、これまたガールフレンドの都合で、急遽、7月1日に南の街に引っ越ししてしまう事になって(それが分かったのが6月22日)、その一方で、もう一人の臨時(ポーランド人)が、『7月に仕事が入らない』と言って、ポーランドに3週間帰省する事になって(6月20日にチケットを買った)、7月の休暇シーズンに大きな穴がぽっかり開いてしまいました。7月に仕事が入らないというのも変な話ですが、彼女はキルナ3ヶ月目の新人でスウェーデン語が殆ど喋れず(読み書きは出来る)、それで私の所以外の臨時に入れられなかった模様です。
 ただ、空白で私が困ったかというとそうでもなく、もう一人の夏臨時(7月2日に初顔合わせをした)にちょっと余分に来て貰ったら、あとは数日程度なので、そのくらいなら簡単に代理が見つかるし、見つからなくても昔と違ってサバイブだけなら一人で出来るから、と多寡をくくっていました(実際そうだし)。そもそも、EU拡大に伴う東ヨーロッパ人の流入で、英語で話が通ずる私は、移民系の介護でも問題ないので(実際、外国人ばかりが私に当てられる)、今後も大きく心配する必要はありません。もちろん、移民というのは全て文化が違うので、その文化の違いに戸惑う事が多いのも事実ですが、それは多様な文化を膚で学ぶ機会でもあるので、それはそれで楽しんでおります。

 最後に例によって無駄話です。キルナでは鉱山拡張に伴う街の移転工事の準備が始まって、その一環として、新しい高圧送電線網を建設中ですが、その柱はなんと木柱です。日本の電信柱からすら消えた木柱ですが、これらでは最新の高圧送電線でも木柱が現役で、鉄筋はおろか、セメント製すら見受けられません。さすがに寒冷地は違いますが、これって、もしかしてテロの心配がないからとも言えるのかも知れません。アメリカで無人の野山の高圧送電線に木柱なんぞをつかったら、明らかにテロの対象になるでしょうから。
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