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リハビリ記録その52

2007-3-4
山内正敏

 3月の第一日曜には世界最大最古最長の バサロペット (83年の歴史、90キロ、1万5千人定員が10ヶ月前に埋まる)で、その実況をラジオで聞きながらこのレポートを書いております。病気になって悔しい事の一つがこのレースに参加出来なくなった事で、当然ながらリハビリの大きな目標もこのレースに再び参加・完走する事です。
 だからと云うからではありませんが、先日、松葉杖の代わりにスキーのスティック(スウェーデン語で stav)を使って歩く事を試して見ました。実は、中高年を中心に、ここ数年程、スティックを使って速く歩く「スターブニング」は急速に広がって、散歩する人の大多数が、このスターブニングをやっております。というのも、スティックを使えば、膝や腰に無理無く歩けて、しかもそれが全身運動になるからで、それは筋肉の弱い私にも当てはまります。もちろん、これはスキーへの第一歩でもあって、私にとってはそっちの意味合いが強いのですが、今回試してみたら、まだ時期尚早のようで、可能は可能でも、きちんとグリップを握れない事からストリングに頼らざるを得ず、結果的に手首に無理が来るからです。それぐらいなら、松葉杖を握って持ち上げたまま長時間歩く練習をするほうが有効でしょう。その松葉杖訓練ですが、1月にフラフラながら(両杖を持ち上げたまま)1キロ以上を歩いたものの、2月になってから1キロ続く事がなく、その一方で、体感としてはバランスが良くなっているので、距離が続かなくなった理由を考えるに、腰に無理のない歩きかたになったからかも知れません。

 腰痛が酷くなった話は先月書きましたが、さすがにどうにかしなければならないので、2月は腰痛対策を集中的に実施しました。
 腰痛対策で一番効くと思われるのが車椅子の座高と歩行姿勢です。歩行姿勢は歩行器の高さで決まります。昨冬のようにゆっくりしか歩けなかった時と違い、今はかなりの速度で歩けるので、僅かの高さの差がで、腰への負担が大きく違います。まず、体操療養師と相談しながら、最適の高さが現行よりも5センチ高い事を確認して、それを実現する為に、1ヶ月以上に渡る関係者とのやり取りを経て、結局、私の当初の提案通り、高さ調整用の新しい穴(そこにピンを差す歩行器の腕を留める)を、一番下の穴の更に3~4cm下に開ける事になりました。時間がかかったのは、保険の関係で製造会社の許可がいるからですが、結局時間切れで「病院側の技師の判断」「使用者の自己責任」という事で先行して穴をあけました。調整後の歩行器を試してみると、僅か3~4cmでも全然違っていて、やっと無理の来ない姿勢(腰を真っすぐにしたまま)で歩けるようになっています。その、正しい姿勢の癖が松葉杖の時の訓練にも現れてバランスが悪くなったのでしょう。あと、正しい姿勢になった為に、歩行器で歩く速度も少し遅くなりました。これらは決して悪い話ではありません。
 車椅子の座高の問題点は、下張りの布が段々伸びて、座る所が垂れ下がるようになった為に、腰の位置が所定より低くなった事にあるようです。対策として、下張りの布を出来るだけ強く張りなおして貰った他(それでも一番始めの状態には戻らない)、座布団も分厚い方に替えています。ただし、この分厚い座布団は空気式で硬くないのが難点で、硬くて分厚い座布団を捜しているところです。
 腰の問題は腰の筋肉が弱い事にも起因しているので、右腰だけを強化すべく、毎朝の床運動で右腰だけの訓練を5分程増やした他(それでも他が速くなったのでトータルで45〜50分)、日常生活での負荷も少し変えました。具体的には、軽い負荷の作業で左足を使わずに右足だけを使い、左足でないと出来い作業は出来るだけ避けるというものです。結果的には、左手でやっていた作業(左利きですので)のうちの一部を右手で行うようにして、右手の訓練にもなっています。というのも、軽い物(小皿とか書類とか)を短い距離移動させる際は、片手で持って片手で車椅子の姿勢をコントロールしますが、その際、車椅子のコントロールに使う手と反対側の足のみを使わないと車椅子が真っすぐに進まないところから、右足を使う為には右手を使って物を運ばなければなりません。要するに、左手を使わないという事です。腰痛だから左手を使わないというロジックは車椅子を使った人間でないと分からない事なので、この関係を介護に説明するのが大変で、いくら説明しても介護は「右手で運べないなら左手で運べば良いじゃないの?」などと言っておりまして、さすがに説明は諦めました。
 さて、こういう腰痛対策の成果が出るのは、普通は早くて数ヶ月後です。でも、少なくとも現段階で既に痛みが薄まっており、床運動での右腰訓練も少しスムーズになり始めていて、対策が有効である事は確認されています。こんな事なら、あと半年早く始めれば良かったとも思いますが、しかし半年前に同じレベルの床運動は全く不可能だったし、歩行器の高さの違いもそこまで実感出来なかった筈だから、今と同じレベルの対策がとれたとは限りません。結局、リハビリなんて、結果論ではどうにもならないのでしょう。今は新しい方法が有効らしいという事実に満足すべきで、これを続けながら様子を見るしかありません。何はともあれ、先日書いたのとは裏腹に、コルセットを使う必要はなさそうで、こちらの整形外科関係者がコルセットを薦めなかった理由も頷けます。
 腰や歩行以外では、プールで進展があり、1月に始めた階段3段目(水深 65cm)で水中に座った状態から手を膝について立ち上がる訓練では、腰を上げた段階で手を手すりに移動させたら、そのまま立つ事が出来るようになっており、毎回10回ずつそれをやるようになった他、階段6段目(水深 20cm)の手放しバランスが1分以上出来るようになっています。あと、階段2段目(水深 80cm)で手を全く使わずにしゃがむ訓練を始めています(立ち上がる方は、手を膝に当てないと全く無理)。
 生活の方では、洗濯の時に衣類を乾燥機に干す作業がスムーズになった他、オーブンからの容器の出し入れもかなり無理無く出来るようになっています。また、尿管の穴の消毒(脱脂綿を取り出し、消毒液を付けて拭う)も自力で出来るようになっています。その尿管ですが、2ヶ月前に変えたあとは、化膿の手前まで行く事があっても消毒で収まっていて、今の所大禍ありません。それと、昔の尿管で問題になっていた、尿管がつまる問題が何故か収まっています。そんなわけで、尿管自体は快調ですが、それでも長距離旅行はまだ厳しいみたいで、日本に6月に行く事があるとしても東京止まりになりそうです。具体的には、法事を宮崎でなく我孫子のお寺でするべく調整を始めています。ただ、そうなると我孫子で現地介護を捜さなければならず、その情報が全く無いので、保険外の介護(レベルは低くて良い)を御存知の方がありましたら、お教え頂けると有り難いです。

 旅行と云えば、EU の規則の問題( リハビリ48 参照)ですが、私ばかりでなく、私の介護もやっと文句を言い始めていており(施行になって始めて問題を実感するのが普通ですから)、市の介護関係の部署の人間も文句を言っていて、要するに全員から嫌われている状況です。EU の規則の酷さを示す好例ですが、この規則の問題点に対する現在の唯一の解決法である(市と組合との)労働協約の方も上手く進んでいません。その理由は、組合の規模が大きすぎて、組合員のごく一部しか占めない介護からの不満をキルナの組合は吸収出来ないからです。その一方では、一般の私企業では、対応した労働協約が次々に出来ていて、キルナ市の労働組合の怠慢を更に印象づけており、介護は「組合の馬鹿やろう」と罵っております。結局、どこか別の市の組合が先例を付けるのを待つしかないみたいで、下手すると9月の フランス(ボルドー地方の Arcachon市)出張 で介護が2人必要かも知れません。余りにもばかばかしいので、会議のある街で現地介護が採用出来ないか当たってみるつもりです。夕方の2時間だけ(給料は4時間分ぐらい出る)の、極めて簡単な内容なので(靴を脱がせるとか、シャツのボタンを外すとか)、言葉が通じなくてもどうにかなる筈です。その手の情報を知っておられる方がおられましたら、是非お知らせ下さい。
 ちなみに、法律そのものの改善を訴えるメールもスウェーデンの7大政党に12月に出しております。 英語のメール だったにも拘らず、中道と左派の3政党から返事が戻って来て(もっとも、内容は「労働協約で上手く行く事を祈る」という不満ものでしたが)、この分なら、もっと易しい改善案なら受け入れられるだろうと思って、新しく「介護が病気で飛行機に乗れない場合はチケットの種類によらずに別の介護が、そのチケットを使える」ように航空会社に指導して貰うように最大政党にメールを出した所、「考える価値があるので、反対党と交渉する」との返事を頂いております。もっとも、その後に進展が無いので、何らかの方法で催促が必要な気がしますが、とにかく第1歩には違いないようです。

 最後にオーロラです。みさと天文台から2台目のカメラが提供されて、 リアルタイム(白黒) で運用を始めました(過去のデータは こっち )。 しばらく研究所で動かして、そのあとは今度はキルナの北東(アビスコは北西)の村の中学校あたりに移動させて、学校関係者に運用を任せようと思います。
 ちなみにアビスコのカメラは こっち で、それを運用している アビスコのホテル ではオーロラ観測小屋もオープンして、これは確かにオーロラ観光客には最適の場所のようです。
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