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リハビリ記録その20

2004-7-04 山内正敏

 研究所からも病院からも人のいなくなる7月がやってきました。プールの体操療養師も3週間お休みになります。かく云う私も休暇(義務)で、仕事の代わりに自主トレと過去のビデオ記録の整理をせっせとやっております。但し天気はずっと悪くて、特にこの8日間は毎日雨が降って、気持ちと良い夏とはとても言えません。
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 ここ1ヶ月の最大のニュースは 三輪自転車の練習 開始でしょう。ビデオは こちら。 もっぱら近くの小中学校(9年一環教育のスウェーデンでは小学校と中学校の区別は無い)のアスファルト校庭(もう一つ土の校庭もある)を8の字にぐるぐる10回程回っています。問題は尻の筋肉が弱くて、尻を擦りむいてしまう事で、残念ながら毎日は乗れません。
 新しい自主トレとしては、他に 片足+松葉杖1本 でのバランス訓練があります。数ヶ月前から体操療養師の時間(週2回)にやってはいたのですが、ようやく介護の支えでも問題ないくらいにコントロール出来るようになったので、自宅でも始めました。こうして練習を毎日に増やすと、今まで殆ど進歩の無かったバランスが急に上達しはじめ、今では最長10秒ぐらい立ってられます。週2回では全然足りないようです。
 その体操療養師の時間ですが、今まで1回当たり1時間付きっきりだったのが、付っきりの必要が減ったので、体操療養師30分+自主トレ45分と変更しています。自主トレの部分は腕力や脚力のウエイトトレーニングで、負荷は腕力 2.5kg、肩力 4.0kg、脚力両足 32kg(片足 18kg)にまで増えています。
 プールの方は週2回の訓練でも着実に成果が上がっていて、手すりを使えば深さ65cm->50cmの昇降が、手放しだと深さ90cmで立ち上がる事(静止のみならず)が出来るようなりました。ちなみに手放しでの昇降は深さ135cm->120cmが限界です。一昨日に撮ったビデオは こちら
 他の進展としては、 正座訓練 でかかとが微かに尻に届く様になった事と、電動歯ブラシのスイッチを日常的に自力でON/OFFするようになった事、靴下を自力で脱ぐ事が出来るようになった事などがあります。あと、腕から掌へ、掌から指へ、指も根元から先端へ、と移動してきた痺れ(ジンジン感)が、ついに概ね無くなって来ました。これは明らかに神経の回復の賜物で、まだまだ回復が続いている事を意味しています。
 指と言えば、親指と人指し指の間にスプーンを挟んで(補助道具を一切使わずに)サラダ程度を食べる事が出来るようになっています。同様にペンを挟んで書く事も可能になって、参院選の投票用紙に自力で書けるようになりました。

 その参院選ですが、郵便制度の問題を痛く感じております。私みたいな僻地では郵便投票になる訳ですが、どんなに素早く行動しても投票がぎりぎりになってしまうからです。投票用紙は日本から国際速達で送られるのですが、これが全然機能していない。普通の航空便なら3日で届く郵便が、国際速達だと最低でも10日かかってしまうからです。
 問題は国際速達がスウェーデンでは郵便局でなく荷物宅配会社に回される所にあります。郵便局なら取りにいける距離に沢山あるのに、国際速達専用の荷物宅配会社は街の郊外の不便なところにあって、しかも夕方4時に閉まってしまう(郵便は7時)から、取りに行くのは全く不可能で、日時を指定して(これも夕方4時まで)配達して貰わなければなりません。そう言う訳で、6月15日消印の投票用紙の届いたのは6月30日。とにかく速達でなく、単なる書留のほうが遥かに速いという状態は異常です。ちなみに前回の衆議院選挙では、自宅滞在の時間が合わずに研究所に配達して貰ったところ、受付→受付が間違って私の隣の郵便受けに入れる→隣の人がタイミング悪く持って行く→その人はたまたま休暇で、2週間後に間違いに気付いて私の郵便受けに戻す→既に投票日前日、という具合でとうとう間に合いませんでした。郵政省に私の投票権を返して貰いたい!

 閑話休題。ところで、私の神経ですが、100%回復は恐らく一生不可能で、ただ、10%でも回復すれば、残りは筋肉の神経信号に対する反応の最適化で一応不自由しない程度の生活は可能になります。問題は、神経によって回復の良いところと回復の悪い所があって、その、悪いところでは神経が完全に消失したままだと云う事です。私の場合、親指とか向こう脛とかが回復見込みの薄い神経ですが、こういう回復不能神経も、最近の医学の発展により、将来的には手術で治る可能性があります。その筆頭が神経幹細胞(stem cell)とかES細胞とかを使った神経の再生ですが、これらの技術はクローン技術にも繋がるので(役に立つ技術は倫理的問題も抱え易いという好例)、研究の進展は世界でまちまちのようです。ちなみに、クローン技術への近さから言うと(1)クローン胚(2)ES細胞(3)幹細胞でそうです。
 そんな折、2週間ぐらい前のニュースで、アメリカのブッシュ大統領が ES 細胞の研究の制限を続けるという話がありました。その直後には日本でクローン胚が認められたという対照的なニュースもありました。ブッシュの言い分は人体は神から授かったものだから弄くってはいけないとかいう(私からみたら大きく飛躍した)論理だそうです。個人的には、神経幹細胞とかES細胞を使った神経再生では、被検体になっても構わないと思っているぐらいですから、医学研究の先端であるアメリカでこの種の研究が遅れて、ひいては世界的にも研究が遅れる可能性に気を揉んでおります。
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 最後に例によって軽い方の話ですが、今回は これ です。

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