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リハビリ記録その19

2004-6-06 山内正敏

 ちょうど新芽が一斉に出かかったところに、今朝の積雪で、木々の息吹(新芽のせいで本当に蒸気の量が増えている)を受けた雪が、氷柱もどきになって、おみくじで真っ白になった神社の木々と見違うような新緑樹氷の並木を成し、陽光に、風に、にわか霰に吹かれて、ばらばらと氷の勾玉を落としております。氷柱型もあれば貝型もあり、大きいものは直径10cm余り。6月の積雪は毎年の事なので珍しくありませんが、こんな樹氷柱は見た事がありません。そんな光景に、中年の介護までが童心に戻って、氷落としを楽しむべく木々を揺すっておりました。
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 と言う訳で、松葉杖での散歩(訓練)の楽しい季節です。主な散歩コースはコンビニ往復の650m(1時間+買物)と病院往復の800m(1時間10分)ですが、数日前には1km(近くの高校の外周)にも挑戦しました(1時間40分)。いずれも坂道で、平地ならもうちょっと行けるかも知れません。
 歩行器の方は、4月に肘もたれの高さを 2cm低くしたのがやり過ぎで、膝に負担が来るので、1cm だけ戻しました。調整と言うのは難しいものです。今は、姿勢を保ちつつ足を使う歩き方で1時間以上歩けるようになり、再び大きな買物が可能になりました。この分だと冬でも困らなさそうです。そこで、ついに 電動式車椅子 を身障者補助機器課へ返却しました。最後に使ったのが雪融けで道がベチャベチャだった時で(ホームページにビデオがあります)、そのような路面では来春でも電動式でないと動けないとは思いますが、そういう、電動式車椅子の必要な状況なぞ1冬で数日しかなさそうなので、たった数日ならタクシーで良い訳で、部屋を広くする為に返却を決めました。県や市の福祉部からの借り物が一つ減る度に、回復の1里塚を感じます。
 手の方は、背中の首下 10cmあたりが自力で掻けるようになりました。届くのは数ヶ月前から届いていたのですが、その姿勢で掻くためには手首と指にも力が要り総合的な回復が必要です。これで、手の届かない処は背中の真中だけになりました。これも訓練中です。肩が軟らかくなったせいかどうか知りませんが、肩凝りをはっきりと感じるようになって、その度に背伸びをするしています。肩凝り自体は入院中からあったのですが、背伸びが出来るようになってからそれを強く感じるようになった気がします。疲れを疲れととして認識できるぐらいに健康が回復したという事なのでしょう。
 肩の力と言えば、あと、車椅子で3km周回坂コース(自転車道)のタイムトライアルをやってみました。これは病気になる前に良く走っていたコースで、その時のベストが10分20秒でしたが、車椅子では28分かかっております。で、今後コースタイムを更新を目指して訓練するか、となるとちょっと怪しく、その最大の理由は先月書いたように興味が松葉杖や歩行器に移ったためですが、もう一つ、新しい興味として自転車も加わった事も原因です。
 なんと、 3輪自転車 を買いました。1ヶ月前に、そんな自転車のカタログを求めて病院の身障者補助機器課に相談にいったところ、たまたま中古を売りたがっている人がいて、一度試乗しただけで商談が成立(と言っても言い値約8万円で買っただけの事ですが)し、その後、ハンドルとかペダルとかの調整をしています。調整の度に試乗を繰り返し、来週早々にも私の手元に引き取る予定です。何と言っても自転車に目のない私ですから、今夏買わないほうがおかしい。これでトライアスロンに水泳+3輪自転車+車椅子で参加できます(まあ、当分は制限時間の問題で無理だろうけど)。
 自転車購入を期に、室内用自転車では 足首固定器 を使わないで漕ぐ練習も始めました。これは主に、脛の神経(足先を持ち上げる神経)の刺激を狙ったものです。現時点で戻っていない幹神経は、この神経と親指付け根(正確には尺骨神経)だけで、他は小指関節等の懸案がようやく解決に向かっており、これら2神経の回復を考える余裕がようやく出たという事です。一番回復の難しい神経なので、何年掛かるか分かりませんが、それでも地道に訓練すれば何らかの効果はあがるでしょう。
 訓練以外での進展というかイベントでは、市役所での合唱発表会 (5月12日)があります。普段の練習では車椅子に座ったままでしたが、本番では室内用の歩行器に立って唱いました。ソプラノ6人、アルト7人、テノール2人、バス2人という、男声に限っては誰も欠席が許されない構成で、テノールなんか、前日のリハーサルですら音の取れない曲があったという危うい仕上がり(仕上がっていない?)でしたが、本番だけは音を外さずに歌えてほっとしています。なお、私は大声量なので(口の回復だけは早かったですから)、それを押さえるのに例によって苦労しました。発表会の模様は、その一部を ここ に入れています(マック型の圧縮をかけているので、古いwindowsでは読めないかも知れません)。
 他に、ノルーウェーでフィヨルドの急坂を3人掛かりで昇降させて貰ったりしています。これは日本人のポスドクが中古車を買った、その試運転の時の事で、この季節の試運転と来れば、一足早い春と海のあるノルーウェーと相場が決まっていて、もう一人の日本人ポスドクと介護と合わせて4人で行ってきましたが、運転して10分ぐらいして、介護が突然「俺のじいちゃんが別荘持ってて、今週末は其処にいるけど寄って見ないか」と思い出したように言ったがきっかけでトントン拍子に話が決まり、行ってみた先が、日本なら確実に市街化調整区域かつ土砂崩れ危険地帯として建築が禁止されるようなフィヨルド崖の中腹の、視界には海と雪山と松林だけ、という、高級ホテルでも望めない一軒家で、早春をすっかり堪能してきました。駐車場から別荘までの 山道を車椅子のまま 押してもらったのも良い経験なら、ノルーウェーまで普通の乗用車で簡単に日帰り往復出来たというのも良い経験です。

 仕事の方は書き物ばかりでした。proceeding 論文が2本(もちろん全然違う内容)と、ESA への提案文7件。更に先週は郷里宮崎で宇宙工学の国際学会があって、実は参加を前提に発表の申し込みまでしていたのですが、歩行能力の回復が不十分で、とても12時間のフライトに耐えられそうになかったので、参加を見合わせ、発表は友人(キルナ郊外の宇宙基地の所長)に代読してもらいました(そういえは、その準備も忙しかったような、、、)。日本への長距離フライトは来年の秋に挑戦します。代わりに今夏は米国コロラドに行く予定です。アイスランド航空だと、レイキャビク経由なので、一回当たりのフライト時間は最大6時間で済み、今年の目標には丁度良いとは思います。テロの危険や空港の混乱のあり得る国に行くのは少々気が引けますが、会議が会議なのでどうしても参加したく、今は、介護その他のアレンジを始めています。
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 5月は真面目な書き物をやりすぎた反動と言うか中和というか気晴らしの為に、軽い日本語エッセー(創作?)やパロディも書いています。他にSFの設定集も作りつつあります。実は1年前に封切りになった地磁気消失SF映画のサイエンスが余りにも酷かったので(私は見た事が無いけど、同僚が全員同じ事を言っていた)、SF作家にもっとマトモなSFを作って貰うべく、昨夏以来少しずつ作っている訳です。そのうち 雑文ページ にリンクすると思います。

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